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07 我、就学にあたわず?

2012.03.17 (Sat)

と、言うわけで、諏訪家万全の状態で、いざ商業界に革命を――!!
というところで、不意に待ったがかかった。

「は、学校? ――あ」
「そういえば、こーちゃん学校に言ってるとこ最近見てないわね」
「いやいや、それ問題だから」

そう、よくよく考えれば、俺こと諏訪鋼一は、まだ小学生。今現在の年齢が――ええと、確か、9歳だっけ?

「えっと……そうそう。こうちゃんは今年九歳よ」
「息子の年くらい覚えておこうよ瑠璃さん……」
「んふふ、でもね、こーちゃんって何だか我が子ながら年下に思えなくて」

まぁ、精神的には、人間なら既に磨耗寸前まで行くぐらいの年月は重ねている。
マキリ=ゾヴォルケン? あんなのまだ若い若い。背徳の獣はもっと凄かったぞ。

「まぁ、とりあえず、だ」
「学校行けと?」
「そう。キミはまだ子供なんだから、ちゃんと学校行って学んできなさい」

うむぅ、この真面目くんめ。
母さんはぽわぽわな人だけど、割と乗りはいい。
俺が既にある程度の学を持っているのを何となくで見抜いたらしく、学校に関しては一言二言言った程度で、後は寧ろ会社経営の方に積極的になっている。
おかげで肩書社長の母さんは、実質秘書兼ご意見番みたいな感じになっている。

「学校……ねぇ」
「そそ、学校」

言う父さんだが、今さら学校に行くのもぞっとしない。
だって考えても見て欲しい。アレだぞ。小学生。それこそ何時だったかに行った入学式のときは酷かった。もう阿鼻叫喚。ガキしかいない、ガキが纏まらない、親はガキを御しきれない、俺は俺で七五三みたいなブカブカの服を着せられたし。
特にあの服がイヤだった。

「――まぁ、仕方ないか」
「学校、行く気になってくれた?」
「|学校《・・》に行けばいいんだよね?」

さらっと。本当にさらっと言葉を吐いてみた。
――母さんは気づいたみたいだ。「あらあら」なんて此方をみて微笑んでいる。
ばれたみたいだけれども、とめる心算は無いみたいだから安心した。

「うん、そう。学校にさえ行ってくれれば、此方としては安心何だよ」

父さんのそれは、本当に此方を心から心配しての言葉だったのだろう。
けれども、最早俺は目的を決めてしまっていた。
嘗ての、今生こそ一般人として生きようと思っていた俺なら別だったかもしれない。
けれども。立派な魔法使い達の暴虐を目の当たりにしてしまった俺には、もう嘗てのように、無知の如く振舞うことは無理だろう。

目的は、表と裏の完全分離。そして地球から魔法世界の影響を撤廃すること。

「んじゃ、学校に行くことにしよう」

そういって、早速一本の電話を書けることにした。
これから俺が行うのは一種の裏技行為。しかし、バグやチート、イカサマに比べて、コレは本当に正しい正規の手段。

「あ、Hellow,Professor.Is this a good time to talk with you?」

ギタギタな英語で、早速WMM(WorldMilitaryManiacs)で知り合った知人に連絡を取ったのだった。




Side Other

其処からの鋼一の行動は、まさに神速といって違い無いほどの速度だった。
父銀二が気づいたときには、既に小学校に対して休学届けを出し、かと思えばいつの間にか一人でパスポートを取り、これまたいつの間にか飛行機のチケットを取り渡米の準備を終えていた。

「兵は拙速を尊ぶというので」
「いや、君はただの子供でしょう」
「――ぼくを只の子供扱いしてくれるのは、父さんくらいです」

あっという間に身の回りの整理を整えた鋼一は、そのまま成田から米国へと渡米する。
目的は原作介入の為の手段。つまりは教員免許だ。

日本ではスキップ制度は無い。然し、アメリカ含む諸外国では、教育制度が日本のものとは所々違ってくる。
鋼一はその制度の隙間を利用し、正当な手段で教員免許を取り、正規のルートで麻帆良にもぐりこもうと考えたのだった。

ただ、麻帆良にアポを取る方法を考えていなかったのは完全な間抜けではあったが。

「とりあえず、ぼくが渡米してる間にぼくの兄妹でも作って置いてください。あ、妹希望で」
「ば、馬鹿!!」
「あらあら、こうちゃんお兄ちゃんになりたいの?」
「はい。可愛い妹とか凄く欲しい」
「あらあら、なら頑張らなきゃね、銀二さん」
「ちょ、瑠璃さん!!」

真っ赤になって慌てる銀二を満足げに眺め、鋼一はそのまま渡米する。
WMMのミリオタ仲間にコンタクトを取った鋼一は、その知人の伝手を使って大学試験を受講、そのまま入学を果たす。当然入学費用はちゃんと払う。

大学に入学したは良いが、正直4年も米国に滞在する心算は無い。
3年……いや、もう正直1年で教員免許だけもぎ取って帰国してやろうかと、鋼一はそんな事を考えていた。

Side Other Out



ふむ。やはり百年単位で大学生をやっていると、小学校のあの有象無象としたカオスよりは、此方のロウに傾いた混沌のがすごし易い。
ミスカトニックの隠秘学科。あぁ、懐かしき|混沌《カオス》の|法《ロウ》。

まぁ、それほど長居する心算は無いのだけれども。

とりあえず、さっさと教員免許を手に入れるために、パパッと解りやすい成果を出してしまおうと思う。
正直、ネタのストックは幾つでも有るのだ。
一般教養? 一体何年アメリカで暮らしていたと(ry




Other Side

そういうわけで鋼一が手を出したのは、諏訪グループで次に開発しようかなと考えていた「自立多脚高機動車両」の開発だった。

この自立多脚高機動車両と言うのは、要するに自動車のタイヤの部分が本体から自立している車両、と言うことだ。
イメージとしては、4輪バギーのタイヤ部分に腕をつけて、その地面に面する部分に幾つかタイヤをつけたイメージだ。要するにタチ○マ。

試しにパパッと引いた設計図。それを電子メールで本社に送り、パーツを日本で製作して輸送する。
そうしてアメリカに引っ張った金属部品を組み上げて、現地で更にプログラミングを施す。
幸いにして鋼一にはプログラミングの適性はある程度あったらしく、本職の情報系の学生に協力を仰ぎつつ、鋼一はあっというまにソレを完成させてしまったのだった。

曰く「術式の型式がプログラミング――とは言わないが、コッチの字祷子も情報構造だし」とのこと。


そうして完成した自立多脚高機動車両――面倒くさいのでOrtMovableManeuverCarでOMMCとした――を、早速教授の研究室に持ち込んだ。

……ら、後論文を仕上げて来れば、卒業させてくれるとか言われた。

この時点で9ヶ月。鋼一本人は「割と時間かかっちゃったな~」とか考えていたが、周囲にしてみれば、異例どころか脅威のペースでの研究開発なのだ。
正直、嫉妬とか羨望を通り越して、既に恐怖以外の感情は何処からも消え去っていた。

のだが、その感情を向けられる当の鋼一は、そんなことは関係ないとばかりに早速執筆に取り組んでいた。

最初に自動車の歴史について語り、その有用性について語った。
次に自動車の有用性に対する、自動車の持ちうる弱点――つまりは不整地での機動力低下を語る。
例えば災害地。例えば事故現場。
如何に素早く行動するかが重要な昨今で、しかし陸からの交通手段はどうしても限られがちであること。
空があればいいと思うかもしれないが、空は天候に左右されやすく、ソレはそれで危ない。
故に、「雨にも負けず風にも負けぬ」、強靭かつ高機動な陸上機はいまこそ必須。
そこで考案したのが、このOMMC。
どんな不整地でもどれだけ傾斜があろうと、崩れやすかろうがぬかるんでいようが、空と水の中以外ならどんなところでも自由自在に走り回る。
機動力では従来車両を圧倒的に上回り、機動に慣れれば三次元的な挙動すら可能になる。
まさに新世代の車両。OMMC。

まぁ、あくまで理論だけ。
正直俺が作ったOMMCなんていうのも、鉄くずをつなぎ合わせてなんとか壊れることなく動いている、と言うだけのメカだ。
廃棄された自動車からのスプリングとか普通に流用しているので、ジャンプとかしたら多分二三回で潰れる。
シュープリスとか魔導理論を用いた機体に比べて、それ以前に現状のOMMCでは既存の自動車にすら劣る。
俺が提示したのはあくまで可能性。コレを如何生かすかは、ランナー次……後続の開発者次第。

「そのうち、日本の諏訪グループから発売するかもしれません。ご贔屓に~」

で、最後は結局宣伝になる。

が、この論文が大いに論争の場を荒らした。
次期機動力として考案されていたインセクト・マニューバ。要するに、蟲の多足構造を真似した万能陸戦装備計画。ソレに対するOMMCは、如何考えてもIM計画の一歩先を行った代物だった。
コレに政治経済と揺れに揺れた。

とにかく優れて信頼性のある物を取りたい派閥。外国製品を国に採用したくない経済界。もうとにかく荒れに荒れ、大荒れた。

因みに、中立だったり此方を押してくれたりしているのは、主に政治とか軍とか。
M∴Sと取引のある相手様たちだ。鋼一は自分の事がばれているのかと首をひねったのだが、実質はM∴Sが日本発の欧米魔術という事で、日系の存在はCISとかに注目されていて、利用できるならじゃんじゃん利用しようという風潮になっていた、と言うだけの話。
ある意味で、OMMCは利用価値を認められていたのだった。



Side Other Out

「コーイチ、キミはうち卒業していいよ」
「教員免許と卒業資格は?」
「勿論ちゃんと用意してるさ。ほら」

ある日突如としてWMMの同好の士であるクラウドに呼び出され、何事かと思っていたら教員免許と卒業資格を渡された。

「MInT卒業資格と教員免許――うん、確かに」
「ぶっちゃけ、これ以上此処にいられても教える物もないし、と言うか正直君がここにいると毎日が忙しすぎてしんどいよ」
「ブッチャケたなこのミリオタめ」
「キミも同類だろう? 然し恐ろしい物だ。キミはまだ10才だろう? そんなに生き急いで、何が目的なんだい?」

クラウドの言葉に、思わず苦笑する。
どうせその内10歳の教師なんて溢れかえ――りはしないが、どうせ10歳の教師なんて俺以外にも沸く。まぁ、無免許の上色々な法律に反した教師だろうが。

「別に生き急いでる心算はないんだよ。出来ることを出来る状態値にしておきたいだけ」
「ふん? 良くわからんな」
「日本語って魔術的だろ。言葉が|混沌《カオス》なんだ。コッチの言葉使ってると妙に実感するよ」
「ほほぅ、そうかキミはオカルティストなのか」
「――理の機械系に向かって言う台詞では無いな」
「違いないだろうが、なら先に君の発言を撤回すべきでは?」
「実感のある言葉だからね。そう簡単に取り下げると、言葉の価値が下がる」
「――矢張り君の言葉は分けがわからん。コレがキミの言う魔術的って事なのかな」

クラウドの言葉に苦笑で返す。

「で、キミはこれから如何するんだい? 色々な企業からスカウトが着てるみたいだけど」
「当然、日本に帰る」
「勿体無い。どこかに就職してしまえば、即座に重宝されるだろうに」
「ふふん、残念だが、俺は既に就職済みなのだよ」

そういってクラウドに名紙を渡す。
そういえばの話、クラウドには大学入試にていろいろ世話になった割りに、コッチの名紙は渡してなかったな。諏訪グループの。

「――これって、最近日本で有名になってきたところ?」
「そそ。親の名前で企業した会社」
「――前々から凄いとは思ってたけど――。うん、コーイチ」
「うん?」
「キミ、化物だ」

言われて、思わず驚いて。

――ニヤリ。
「褒め言葉として受け取っておくよ」

けれども直後、思わず口が歪む。
そして、あえて如何にもと言うような笑顔でわらって見せたのだった。



そうして準備は整った。
俺の年齢とネギの年齢は3歳差。原作開始まで予想であと3年。
正直、1年で卒業は予想外だ。
時間も余るが、取り敢えずは帰国しよう。

「もしかしたら、もう着てるかもだし」

そろそろ見に行こうかな、なんて考えているのだ。

ついに、ついについに。
行ってみようかと思う。

――麻帆良学園へ。
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