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08 学園都市の朝はぬらりひょんに魅入られて。

2012.03.17 (Sat)

鋼一です。
帰国してたら本当に兄妹が出来ていた件について。
母さんのおなかが大きくなっていて、帰国直後くらいに出産。洒落にならないレベルでびっくりした。
で、照れる父さんに「報告しろよ」とマジ切れの一撃を叩き込んだ俺は悪く無い筈。
因みに妹でした。名前は藍。正直、麻帆良行くより家で藍の相手していたいです。
物凄く可愛いです。
まだ面識はありませんが、雪広あやか女史があそこまで傾倒するのもわかる気がします。
あぁ、もうちょっと此処に居ていたい。






と、言うわけでやってまいりました麻帆良学園。
此処に来るのは少し迷ったのですが、然しどちらにしろ事は此処を中心に巡るわけです。
此処を観測していれば、大まかな時間の流れを観測することも出来るだろうし、メリットとデメリットを考えた場合、俺は此処に留まったほうがいい、と感じた。

さて、この麻帆良だが、かの有名な学園結界に守られているのは周知の事実――かどうかは知らないが、俺が此処に訪れた際、先ず最初に気になったのがこの結界だった。

なんというか、こうでかい結界を堂々と張られていると、いかにも「何か有りますよ!」と宣伝しているようにしか見えないというか。

本来用事や許可の無い人間がここを訪れると、結界の作動により魔法先生やら番人やらが此方に殺到してくる仕掛けになっているのだが、今日の俺は極普通の転校生として、転校手続きに来た一般人なのだ。

因みに、俺に麻帆良への転校を勧めた魔法使い、ウィリアムさんの紹介状付きだ。
何かこの紹介状がフラグ臭くて、なんとしてもコレを断ろうと思っていたのだが。
何処からともなく俺が麻帆良へ転校しようとしていることを聞きつけたウィリアムさんが、いつの間にかこの紹介状を用意して、その上で「先方には話を通しておいた。安心してくれ(キラッ☆」という感じなのだ。
正直余計なお世話を通り越して、簀巻きにして溶鉱炉に放り込みたいレベルなのだが、向うは親切心でやってくれているので文句を言うわけにも行かない。

多分、俺が日常的に漏らしている余剰魔力から、俺を何とかして裏世界に引っ張り込みたいと考えているのだろう。まぁ、パッと見で見える魔力は、一般人にしては多い程度にしてある。
うーん、コレも善意なのだろうか。折角ある魔法の才能を開花させたいと。

因みに、この状況に父さんは頬を引きつらせていた。
何せ一度父さんと模擬戦もしたからなぁ。父さん、基本的に補助系の魔法を使う幻術師だったのだが、此方がニトクリスの鏡とか“我埋葬にあたうわず”乱射したりしたら簡単に勝てた。

因みにその後、M∴Sの見習い魔導師――階位にして3=8くらいの見習いとの模擬戦を見せたのだが、何か物凄く引かれてしまった。
まぁ、確かに此方の世界のファンシーな魔法と違い、俺達の使う魔術というのは、鋼を生み鋼を鍛え鋼を振るい、因果を生み因果を歪め因果を叩きつける、そういう、ある意味地味である意味派手な戦いなのだ。

相手をするプラクティカスも中々の物で、俺はMk.23一丁で相手をしていたのだが、俺の弾幕を増殖させたバルザイの偃月刀で防ぎ、一気に接近して斬りかかって来た。

増殖バルザイの偃月刀、その刀身には防護呪紋。かなりそれに力を入れて修練を積んだのだろう。驚いたことに、増殖バルザイの偃月刀は、一本に付き2~3発も俺の弾丸を防いで見せた。
後、ニトクリスの鏡とか修練して、擬装を覚えれば面白いんじゃないかな~、なんてアドバイスを入れておいた。
鏡で擬装され死角から襲い来るバルザイの偃月刀。――うん、面白そうだ。戦術に組み込んでみるかな?


「あはは、魔法使いの魔法って、鋼一の使ってる魔術に比べると、もう少し見た目がファンタジーだから……」
「どちらにしろ人を傷付けうる手段なのにね。むしろあんなファンタジーな魔法だからこそ、隠匿規制が緩かったりするんじゃない?」

例えば拳銃。こんなモノを日本で持っていれば、ソレが見つかった瞬間確実に大騒ぎになる。
「内緒にして置いてください!」
とかで誤魔化せるレベルでは、決してないだろう。

ソレに対して魔法はどうか。危険度でいえば拳銃に並ぶ――否、それ以上かもしれない。
だというのに、魔法に関して見つかった場合、記憶を消すか、内緒にすることを約束してもらうかという選択肢が与えられる。
正直、正気かと疑ってしまう。

何せ、選択肢を与えるというのは、目の前で拳銃をちらつかせながら「おう、記憶消されるか黙っとくことを約束するか選べ。もし喋ったら――ワカルダロウ?」的な事を言ってるのと大差ない。

魔法の隠匿と言うのは、魔法使いのためであると同時に、一般人のためでもある。その事を、この世界の魔法使い、特に西洋魔法使いと呼ばれる連中は、その事を忘れている。いや、理解していないのかもしれないが。

さて、話が逸れたが、そろそろ現実に目を向けようかと思う。





「えっと、源先生、お聞きしていいですか?」
「はい、どうしたの?」
「なんで女子中学エリアに学園長室があるんですか、って言うのはまぁ、学園長が[禁則事項です]って事で理解できるんですが」
「フォッ!? 何か物凄く失礼なことを言われた気が擦るんじゃが!?」
「大体あってますよ」
「源くんっ!!」

視界の端で悲鳴を上げるソレ。
うん、解ってる。多分コレがそうなんだとは思うんだけれども、でも実際に目の前にすると――違和感が凄いです。

「もしかしてこの妖怪が学園長さんですか?」
「はい。こんなのでも学園長です」
「こんなの!? それにわし妖怪とちがう!?」
「因みに、この妖か――学園長先生をみて、妖怪と判断しなかった人間って居ます?」
「――私の知るところでは、皆さん同じ反応しかしませんね。高畑先生はご存知ですか?」
「――あ、あはは、いやぁ、ボクも似たような反応しか知らないなぁ」

壁際に立つ老け顔の男性が、苦笑しながらそう話した。
因みに件の学園長は、なにやらしくしくと部屋の隅にうずくまっていたが。
妖怪ジジイがそんな事をしても気色悪いだけだというのだ。





「さて、と言うわけで、麻帆良へようこそ諏訪鋼一君。ワシが麻帆良学園学園長、近衛近右衛門じゃ」
「諏訪鋼一です。よろしくお願いします」

そうして仕切りなおし。極普通の挨拶の中で、不意に此方に対する干渉を感じた。
この感じからして思考盗撮だろう。舐めるなよ人間。こちとら邪神相手に心を読まれるなんて慣れっこだ。つまり、擬装の方法だっていくつかは用意してある!!

「フオッ!!」
「どうかしました?」
「いや、なんでもないぞい」

その一つ、マルチタスクの極地、同時に複数のことを、其々全く別の速度で、全く別の方向に思考する。
通称|混沌思考《カオス・タスク》。混沌とした思考はまさにカオス。
その全てが本物の志向で、けれどもどれ一つとして今必要な情報は記載されていない。
流石にコレでも邪神は此方の考えを読み解いてきたが、この中から本物の思考を探し出すのは、多分人間には不可能だろう。

少し戸惑ったような近右衛門だったが、さすがは老獪な妖怪と言うべきか、そんな内心の戸惑いを表に出すことなく、即座に好々爺とした老人を取り繕った。

「うむ。それで、君を呼んだのは麻帆良に来るに当たっての手続きに関して……だけではないのじゃ」
「ですか」

そりゃまぁ、転校の為だけに態々生徒を校長室に招待しているなんて事をしていれば、確実に校長としての業務は廻らなくなるだろう。

「本題はの、キミに魔法を学ぶ気があるかと言うのを問いたかったのじゃ」
「…………」

魔法、と言う単語が出た瞬間、部屋の温度が少し下がった気がした。
因みに源先生だが、話の切り替えをしたところで校長が退室を促した。正直ジジイとオッサンの三人でこの部屋とか勘弁してほしい。潤いがほしい。

「どうじゃね?」
「――そのお誘いは、前に別の方からも頂いたのですが、矢張りお断りさせていただきます」
「ふむ、そうかね。因みに理由を聞いても良いかね?」
「理由ですか?」
「うむ。キミぐらいの年代であれば、魔法と聞けば興味心身に知りたがるものじゃと思っておったのじゃが、何分キミの反応が予想以上にくればぁじゃったものでのう」

ふむ、まぁ確かに此処で魔法に関して全く興味がありません、という態度をとっているのも、聊か以上に不自然だったか。

「……ぼくは、ファンタジーよりはSF嗜好なので」

そういって、軽く左手を振ってみせる。
バチン! と響く音に、瞬間高畑先生が身構えた。

「ふむ、ソレは?」

言って此方の左腕、正確にはその先に漂う青白い光を指差して問い掛ける学園長。

「携行型の|低出力雷撃機《ショックブラスター》です。護身用に」

手首の先からパチパチと音を立てて放たれる青白い稲光。諏訪グループの中の防犯グッズ開発をしている部署で作られた最新作だ。
ベルトポーチに取り付けられた小型バッテリーから電源を引く必要があるが、それでも携行型の暗k――もとい、防犯グッズとしては破格の性能と携行性を持つ。

「そんなモノを……」
「魔法なんて危険物に比べれば可愛い物でしょう」
「ぬぅ。しかし、ソレの乱用は避けてほしいのじゃが?」
「あくまで護身用具です。身の危険がなければ使いませんよ」

左手首でバチバチ光っているコレ。見た目は派手だが、その実威力としてはスタンガンより若干強いかな、という程度の威力しかない。
見た目が派手なのは威嚇。有効範囲は調整可能で、使い方はグフB3型、通称グフカスのヒートワイヤー--って言ってもわからんか。
要するに、最長15メートルくらいまで伸ばせるワイヤーアンカー。コレの接触対象に対して電流を流せるという仕様だ。
バチバチ放電してるのは先端のアンカー部分。

「なるほどのぅ。科学の申し子か。そういうことなら、麻帆良にあるロボ研なんぞに顔を出すのもいいかもしれんのう。麻帆良の技術系は色々すごいからの」
「では、その内お邪魔させてもらおうと思います」
「うむ。では宜しくの、鋼一くん」
「はい、此方こそ」





「あぁ、そうそう。キミの担当教科なんじゃが、英語を頼もうと思っておる。いやよかった、タカミチ君が忙しくて、ちょうど変わりになる教師を探して居ったんじゃよ。何、本分は理工系かもしれんが、留学生のキミなら容易かろう?」







--------。







「は?」

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