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02 RAY

2012.06.08 (Fri)
「うわ、もう完成した」
「会社を建ててから2年。まぁ、それなりのペースではないかな?」
「一般的には馬鹿げたペースでの開発なんですけどね~」
「さすがはドクターです」

クアットロのツッコミとウーノ姉さんの賛辞を軽くスルーしつつ、目の前に聳えるソレを繁々と眺める。
金と空色で塗装された、シンプルな形状。
参考とした日本製IS打鉄の流れをどこか感じさせる、何処か鎧のようで、ソレで居てすっきりとした概観の機体。

「開発コードRAY。これでもかと機動性に全力を割り振った、間違いなくスバル、キミ専用機だ」

専用担架に設置されたその機体。
飛びたい、飛びたいと訴えかけられているような気分になって、いや違う、コレは私が飛びたがっているんだ。

「ドクター、乗っていい!?」
「ふむ、未だシステム系が未調整なんだ「私が直接やる」が……まぁ、それならいいよ」

苦笑するドクターを脇目に、タラップを踏んでRAYに素早く身を滑り込ませる。
背中をあずけるようにして装着。
その途端流れ込む凄まじい情報量。三百六十度、天上天下の全てを情報として知覚できるというとんでもない全能感。

けれどもそんなものよりも、何よりも内側に沸き上がる感情がある。
それは空を飛びたいというたった一つの想いだ。

「イメージインターフェイス接続。プログラム構築開始」

即座にスクロールする文字群。仮想キーボードに指を走らせ、同時に思考入力により素早くプログラムを組んでいく。
クイックブースト時の出力調整、IFF、FCS、マルチロックオンシステムの調整に普通火器管制の調整と、それらをマルチタスク全力で仕上げる。

自分でも驚くほどの集中力で、あっという間に仕上がったソフトウェア。
もう何も、私の空を阻むものは無い。

ふわりと浮き上がるRAYに、思わず感情が高ぶる。けれど、こんな所で焦って事故れば、RAYの搭乗が先に伸びてしまうのは明白。
このチャンスを、そんな下らないことで先延ばしにしないよう、細心の注意を払って機体を移動させる。

――カチン!

「カタパルト接続正常。IS、RAY、出るよ!!」

バシュッと言う音と共に、機体が一気に前へと押し出される。
そうしてカタパルトから撃ち出された機体は、漸く大空へと解き放たれたのだった。






スゲェェェ!!

――ボッ!!

音速の壁を軽々と突破するRAYに、思わず声にならない歓声の悲鳴を上げる。
RAYの最大の特徴。他を圧倒的に上回る、類稀無い機動力。
搭乗者が戦闘機人であるため、他よりも搭乗者に対する保護が緩くすむ。ソレゆえの大出力。

――ボ、ボッ!!

そうして、まるで雷を描くかのような変則機動。
俗に言う個別連続瞬時加速ではない。所謂、二段クイックブースト(QB)と言うやつだ。

大空に描かれた稲妻は、空を覆う巨大な雲を吹き飛ばし、背後に巨大な飛行機雲を描きなおした。

「お前、RAY、最高だ!!」

そうして思わず洩れた声。それに答えるようにして、空色の機体は更なる変化を見せた。
一瞬機体を覆う白い光。

――第一次移行が完了しました。

「おぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

そうして、更なる加速。実に2000キロを超える超加速。
その状態から、即座背面へクイックターン。背後に向けて全力でスラスターを吹かす。

「ぬぎぎぎ!!」

身体にかかる負担は大きい。けれども、耐えられないほどではない!
そうしてストップする機体。流石にOBをOBで相殺するのは無理が有ったか。

取り敢えずの一次移行を終えたという事で、改めて機体の姿を確認する。

――ふむ。先ほどに比べて、何処か丸みが増している。
然し全体的に角があるのは変わらず、ソレがスタイリッシュな角ばりになっていた。
――うん、ドクターの元のデザインが良いから、あんまり変化するところが無かったみたいだ。

そうそう、忘れていた武装をチェックしていく。
左腕高出力レーザーブレード、右腕リボルバーナックル。
背部には60連装マイクロミサイルコンテナが二つ装備されている。
因みに射撃武器としてライフルなどが量子格納されている。

「パーフェクトだRAY」

思わずそう呟いて、何処かから「光栄の極み」とか返ってきた様な気がした。

『スバル、そろそろ戻れ。武装のシステムチェックを行う」
「アイマム。すぐに戻ります」

と、トーレ姉からの通信に答え、即座に基地に向けてOBを吹かした。うん、やっぱり素晴らしい加速だ。

「しかし、トーレ姉、出番少なっ」

まぁ、開発パートでの前衛職の出番なんてそれくらいだ。南無。

なんてメタなことを考えながら、凄まじい速度で基地に向かって帰投したのだった。
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