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09 CBF in Australia・三日目

2012.06.08 (Fri)
Side Other

目立っていないことを自覚しつつ、さりとて私が直接前衛に出るのもワンパターンと考えて、結局地底からの指揮だけをこなして数時間。
其処から一度パースに戻り、整備を終えて即座に再出撃。
一日目と違い、二日目はパースから結構な距離が開いている。速めに出発しておいたほうが良いと言う判断だ。

「けど、もうすぐ中間地点か。みんな速いね~」

CBFinオーストラリアでのルールとして、中間地点でのピットインが認められている。
これは、精密機械であるISを数日間も連続稼動させるという無茶なレースで、流石に無理が出てくる事を見越し、その中間地点で一度整備を行う事が出来るというものだ。

まぁ、シールドエネルギーは休憩時間である程度回復していたとしても、装甲やフレームなんかに来るダメージは一度ピットで修理しなければなるまい。
そうでなくても暑苦しいオーストラリアの大地なのだ。熱気だけでもISに結構な負荷がかかっているのは想像に難くない。

まぁ、ISなんて本来の連続稼働時間はもっと短い。
戦闘機動を混ぜつつも3日は飛んでいる現状。トーレ姉のリガズィーや第三世代のアルギュロスはともかく、あのコアラ二機が未だ飛んでいるというのは、ちょっと驚きの事態だ。

「まぁ、ピットインまで持てば、完走も夢じゃないんだよね」

GPSを見ながら、そんなことを呟く。第二世代にしても傑作とは程遠いコアラ。しかし、あの二機のパイロットは、その駄作で此処までレースを粘っている。
機体は三流でもパイロットは一流。尊敬に値する。

「まぁ、負けてるのを応援したくなるのは、前世の影響かな?」

言いつつ、RAYに後付けしたマイクロミサイルを、眼下にむかってばら撒く。
現在のRAYの所在地は、先頭走者二機のはるか上空。高度制限でCBF参加機では上昇が許されないほどのはるか上空。
大気の影響で光学センサーはまともに働かず、同時にミサイルは重力に抗いきれずに上昇を諦めるほどの高度。そこから、一方的にミサイルの雨を降らせているのだ。

回避しか許されず、迎撃は物理的に不可能。
そんな、ちょっとばかり鬼畜な妨害を仕掛けつつ、前世では関西人でトラ球団を応援していたスバル、内心でコアラの二人をちょっとばかり応援していた。

――のだが。

「――って、ええっ!? 救難信号!?」

突如鳴り響いた警告音に慌てて情報をチェックするスバル。
投影されていたモニターに表示されているのは、オーストラリア全体の俯瞰図。自動的に拡大されるマーカーの発信源は、後方を走る二機のうちの一機のようで。

「あちゃ」

とりあえずとばかり、運営側の機体として大急ぎでその場へ向かうスバルであった。


Side Other End





と言うわけで着ましたコアラ改の下へ。

上空から確認したところ、コアラ改は二機とも停止している様子だった。ただ、壊れているというか、煙を上げているのはコアラ改一号機のほうで、二号機の方は一号機の付き添い、と言う様子。

「大丈夫ですか?」

RAYを着陸させて、コアラ改一号機の様子を見ていたパイロットらしき女性に声を掛ける。

「――あぁ、そうか。確か緊急時のスタッフも兼ねてたのよね」
「はい。救難信号を確認したので駆けつけました。どういった類の問題でしょうか?」

問い掛けると、金髪に軽いパーマをかけた美人さんがふっとこちらを振り向いた。
――わぉ、眼鏡の振り向き美女だ。

「機体が空中分解しちゃったのよ。正確には空中分解しだしたから、慌てて分解しきる前に着地したのだけど」
「それはまた。改良がなされたんじゃなかったんですか?」
「そのはずなのだけれどね」

言って溜息をつく金髪美女。
うーん、安全性に問題あり? 一応検査のために金髪美女さんに一声かけて、RAYをコアラ改1号に寄せる。
接触回線から接続――ステータスデータ取得。

「うむぅ、何でか知りませんけど、フレームが完全にへたっちゃってますね」
「あぁ……やはりグレネードを乱射したのは拙かったわね……」

そういって視線を移動させる金髪美女さん。その視線の先には、コアラ改一号の背につまれた巨大なグレネードランチャーが。
――あぁ、この規模のランチャーを連射したのか。なるほど、それならこの状況にも納得がいく。確かにコアラ改程度のISでこのサイズのランチャーを乱射したとなれば、反動でフレームが痛むのにも納得できる。

「なぁ、RAYのパイロットさんよ。結局の所、リーリンはレースに復帰できるのか?」

とか考えていたら、不意に背後から声を掛けられた。
振り返れば、今度はボーイッシュ系赤髪の美女が。ボーイッシュといっても、なんと言うかそう、ヅカの少年役みたいな感じのボーイッシュ美女だ。

「パッと見、無理じゃないかと。フレームがへたっちゃってて、この状態で飛行すれば間違いなく空中分解します。ピットでなら修復可能だったのかもしれませんけど、こんな砂漠のど真ん中じゃ――」
「く、なんとかなんねーのか!?」
「なんとか、といわれましても――」

詰め寄ってくる二号機パイロット。
仕方無しに、一度RAYを格納して、直接残骸――じゃなくて、一号機に近寄る。

「ぬぉっ」
「幼っ」

何か言われた気がするが、そのあたりはスルーする。
そういえばの話、現在の私は稼働時間は六年強、外見年齢10歳程度だったりする。

「えっと、ちょっと機体に触りますよ?」
「ええ。どうせソレはもうコア以外はガラクタよ。好きにして頂戴」

なんだかちょっと疲れた様子の金髪美女一号機パイロットさん。
溜息交じりに了解を貰ったので、早速手を加えてみようと思う。

「せーのっ!!」

みぃしぃっ……

「なっ、何を!?」
「私が手を貸した事、内緒にして下さいよ?」

……ブプゥゥゥゥウウウウウウウンン―――――

「なっ、再起動した!?」
「フレームの一部を意図的にひずませて、予備回路同士をバイパス、一時的にエネルギーラインを偽造しました」
「な、そんな馬鹿な!!」

いや、馬鹿なといわれましても。
コアラの設計は、実に基本に忠実に出来ている。その実、第一世代のソレと実はそれほど大差が無かったりするほど堅実な設計なのだ。――基礎フレームは。

だというのに、何故あそこまで脆い機体になってしまっているのかと言うと、主だった要因は第二世代に改造する際、機体の情報処理能力を上げる為、「新しいCPUを開発する」と言うのではなく、「既存のCPUを大量に積む」という選択肢を選んだのだ。AMIは。

第一世代それ自体は、ある程度の余裕を残しながらも、それ自体としては既に完成品の領域にあった。
その第一世代を、大して触りもせずに、フレームを強制的に肉抜きして、その肉抜きした場所にCPUを無理矢理突っ込んだのがあのコアラだ。そりゃ脆い。

その上、あの機体はフレームの設計を変更してしまっている。
まぁ、変形したほうがISとしての性能が上がる、と言うのなら未だ容認できた。が、「CPUの設置にその形のほうが都合がいいから」って何だ!! 何か色々本末転倒じゃないのか!?
しかもその所為で、装甲材や武装との接合が不安定化して、全体としての性能は元になった第一世代と比べても微妙と言う有様だ。

まぁ、だからこんな裏技も出来たりする。

「あと、フレームのゆがみが逆に引っかかりになって、機体が空中分解する、っていう事態もあと少しの間ならなんとか。その間にピットに逃げ込んでください」

改悪を、力技で元の状態に戻す。中のCPU? ピットに飛ぶだけなら、んなもの要りません。

「ってことは、リーリンはまだ飛べるんだな!!」
「はい、辛うじて、ですが。――ただし、当然ながらガジェットドローンはランダムに出ますし……まぁ、迎撃されないよう、頑張ってピットに入ってください」

言うと、コアラ改の二人のパイロットは、なんだかなんとも言い難そうな表情で此方を見ていた。はて?

「……支援、感謝する」
「まぁ、仕事ですから。オマケですけどね」

最後にもう一度、「私が手を貸したのは内緒ですよ?」とだけ言い加えて、再びRAYを再展開。即座にその場所から浮き上がらせる。

「それでは、あなた方の勝利ないし完走を願っております」
「なら妨害手加減してくれよ!」
「――本当に手加減してもいいんですか?」
「やっぱすんな!!」

二号機パイロットェ……。

「では、また」

最後に、それだけ言い残して空へ。
そろそろ拠点を中継地点のポートオーガスタに移す頃合だろう。

GPSを確認。
現在の状況は、第三世代二機がオーストラリア南部の海上を驀進中。現在ワガニャ・コンサベーション保護区? だったか、そんなところの南の海上を突っ走っている。いや、確かに海上を突っ切ればショートカットになるけど、エネルギー切れたらどうする心算なんだろうか、あの二機。

で、対する第二世代二機は、ボーダービレッジを少し東に行ったヌラーバー国立公園の中で今現在再起動処理中。
この調子ならば、まぁ順当に第三世代が先にピットインするだろう。

――けど、だ。
ご存知の通り、ISと言うのは精密機械。こんな長期間にわたって連続稼動させるというのは、実は想定外だったりする。
特に第三世代。あれは革新的武装を実装している代わりに、本来は燃費がかなり悪い代物だ。
今回はパッケージによる換装でなんとかその燃費と言う点は補っている様子だが、そもそも精密機械である第三世代だ。そういう無茶は後半で響く。

対する第二世代と言うのは、まだまだ改良が進んでいるとはいえ、既にある程度は上限に達している技術だ。

まぁ、ぶっちゃけると、中身が単純な分、第二世代のほうがこういう荒々しいレースには、本来向いている。
今回はガジェットというとんでもない妨害がいたからこそ苦戦しているが、まぁピットに掛かる時間と言うのも、第三世代に比べればたいしたものではないだろう。

「さて、どうなるかな~」

オーストラリア南部での戦い。
見所は、其々がピットインにどの程度の時間をかけるか、と言う点。
其処次第では、逆転劇とてありえない話ではないのだ。


□□□□□□□□□□(友情出演)「攻撃はするけどリタイアされちゃうとゲーム的には面白くない。
シールドバリアは、無稼動状態でなら時間経過で自動最充填される物だから、絶対防御を発動させない限りは十分ゲームに活かせる。
生かさず殺さず、確りと愛を持って、ゲームの駒としての役割、其々の英雄譚を担わせる。そうしてその物語で観客に喜劇を魅せる。コレこそが良いゲームマスターの資質なんだよ」
スバル「勉強になります!」
orz
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