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10 CBF in Australia・三日目その2~

2012.06.08 (Fri)
さて、やはりと言うべきか、予想通り第三世代はピットインしてから整備に時間が掛かっている様子だ。
まぁ、第三世代といえば、普通はかなりピーキーな調整がされている物だ。第二世代が普通乗用車だとすれば、第三世代はハイブリットカー。つまり、同じ形なのにより複雑な機構が盛り込まれている存在だ。
普通の第三世代の運用思想は、母艦との連携による短期連続戦闘。普通は、数日整備無しで飛び続けるなんていう事態は想定していない筈だ。

ソレに対する第二世代は、当然第三世代ほど複雑をしていない為、かなり構造的に強い筈だ。
暴論だけど、電気自動車がCP制御だとすると、第二世代は完全マニュアル制御。武装も汎用量産品を搭載していて、イメージインターフェイスとか第三世代兵器とかなピーキーな代物を搭載して居ない為、変に難しい調整とかはほぼ無い。
まぁ、コアラはどうか、と言われれば、少し首を傾げざるを得ないが。

因みに、RAYは第三世代だけど、その性能は至極劣悪。ちょっと走っただけでエラー連発する電気自動車に、外付けで無理矢理制御装置、つまり私をくっ付けて走っているような状態だったりする。
まぁ、ガワが第二世代なだけ有って頑丈で、だからこそNextじみた無茶な速度を出せたりするのだけど。

――実は一般的第二世代のほうが、総合的には優れていたりする罠。

「さて、それじゃ此方もピットインしておきますか」

三日目は二日目と違い、はるか上空からのミサイル投下しかしていなかったものの、それでも此処はオーストラリアの大地。砂とか普通に被ってしまっているだろう。

第二世代に無理矢理第三世代装置をくっつけたような、なんともチグハグで、ハード的には頑丈(ソフト的にはかなり脆弱)なRAYだが、まぁ万に一つ砂が駆動系に詰って機能不全を起こす可能性が無きにしも非ず。
ソフト系脆弱でハードまで脆弱とか洒落にならないけど。

まぁ、そういうわけでピットに向かって機体を滑らせるのだった。






さて、此処で本部が何か面白い事を言い出したらしい。

「――正気?」
『どうも、そうみたい。私でも正気を疑うのだけれど』

突如としてドゥーエ姉から入った暗号通信。それは、運営側から大会のルール変更に関する知らせだった。
戦闘機人としての内蔵端末から網膜に投影される映像データ。
それを確認しつつ、ピットで配給された水を喉に流し込む。暑いのだ、此処は。

『まぁ、コレって貴女が原因みたいな物なのだけれどもね』
「アタシが原因って」
『貴女が乱用するから、運営側からドクターに打診があったのよ。大会で使えないか? って。実際、ドクターが軍の廃品から一日――実質数時間で組み上げたのを見て、無理じゃないって言うのは解っちゃったみたいで』
「いや、それでも無理っしょ、初心者にいきなりVOB使わせるって……」

VOB(ヴァンガード・オーバードブースト)。要するに、ISの背部に巨大なロケットをくっ付けて、ISをミサイルの如く水平に加速させようというなんとも無茶苦茶な、ガキの空論を実際にやってみたような代物だ。
……なのだけど、コレが意外と実際に使えたりする。使えたりする物だから、私ってば調子に乗って少し使いすぎてしまったらしい。

まさか、国の興味を引いちゃうとは。

「で、詳細は?」
『中継地点からVOBの使用を許可。ただしVOBの使用時間は15分。大体500キロってところかしら』
「えっと――ブロークンヒルかミュルデーラって所かな?」

地図を見ながら確認する。
中間中継地点がポートオーガスタで、其処から15分。VOBの最大加速が大体2000キロくらいだった筈で、その四分の一だから500キロ。まぁ、レースの展開的にも丁度良いくらいなんじゃないだろうか。

「――でも、大丈夫かな?そのVOBってウチのラボで作ったやつじゃ無いんでしょ?」
『ええ、軍から渡されたミサイルの廃材を、ドクターがその場ででっち上げた物よ』
「うわぁ、故障フラグ」

――「VOBは故障する物」とは、一体誰の格言だったか。
実際、私がドクターにVOBを提案した当初、実際に運用して、先ず最初にVOBが故障した。
爆発こそしなかったものの、操舵が利かなくなり、危うくオーストラリアの首都に質量攻撃を行うところだったのだ。
今でこそ、ラボで少数を高品質に仕上げることで故障を凌いではいるが……。

『確実に故障するでしょうね』
「いやいや、ダメじゃん」
『それも大会を盛り上げる要素なんでしょう』

うわぁ、と思わず声を漏らしてしまった。
要するに大会側は、態々『唐突な事故』を演出するのだろう。事故に対する対応力も要求されるってことなのか。うわぁ。

『まぁ、VOBの装着は必須ではないわ。まぁ、装着しなければ、使用した機体には追いつけないでしょうけれど』
「使用は無言の強制。えげつない」

使えば故障する確率は大。でも、使わなければ負ける確立は更に大。
何せ500キロといえば、一日で稼げる最低分の移動距離に相当する。それを15分で得られるというのだから、コレは割りと大きいだろう。

『まぁ、選手達がどちらを選ぶにしても、ことは明日――いえ、手間取るようなら明後日になるかしら。まぁ、未だ時間はあるのだし、あなたはその間に、少し街の中でも観光してらっしゃいな』
「観光って――何か有ったっけ?」
『ポートオーガスタは景色がきれいな街らしいわよ?』
「景色なんて、感じ方一つで如何とでも感じると思うんだけどなぁ……」

まぁ、愚痴っても仕方が無い。
というか、冷静に考えれば、コレはお休みがもらえるという事なのだから、特に嘆く事では――。

「いや、待て待て。あたしゃ未成年どころか10歳だぞ? 一人で歩いてたら補導されるわ!!」
『――あら、そういえばそうだったわね』

しかも、私の外見的特徴はアジア系。見かけないアジア系と言うと、大抵の地元住民はそれを観光客だと判断する。となると、確実に引ったくりだとか誘拐だとかの憂き目にあうのは目に見えていて。

「……大人しく基地に引篭もってます」
『何だかごめんなさいね?』
「いいよ、大人になったらその分遊ぶから」

せめて此処がアジアだったのなら、まだ少しは違ったのかもしれない。
せめてアジア――いや、ここが日本だったなら!!
そうだ、日本へ行こう!!

「私、この大会が終わったら、日本の小学校に転校するんだ――」
『何フラグ立ててるのよ……』

まぁ、いい。どちらにしても、アジア系の私は日本に行ったほうがいいだろう。それにどうせ後から原作介入する気満々なのだから、後か先かという違いくらいしかない。
まぁ、コアの保有に関してオーストラリア本国が何か言ってくるかもしれないが、そのときはRAYは国においていけばいいだけの話だ。
RAYが要るのは、私が原作に介入するタイミングだけなのだから。

「まぁ、明日は適当にしてるよ。どうせRAYの整備もあるし」
『そう。まぁ、適当にね』
「うん、適当に」

そういって、通信をきる。
因みに私たちの間での適当は、文系の「大雑把に」と言う意味ではなく、理系よりの「必要適量当分」にという意味のほうである。
適当に頑張るというのは、ついつい(開発とか報復行動とかを)やり過ぎてしまうナンバーズコーポの、全社員に対する社訓というか、そういう類の合言葉だったりする。

「――って、あら」

とか考えていたら、中継地点にコアラ改の二機が入ってきた。
一号機はその武装の大半を破棄し、何とかピットまでたどり着いた、と言う様子。対する二号機は、まだなんとか辛うじて戦闘機動を保てているようだ。
矢張りボロいな、コアラシリーズ。

「……寝るか」

とりあえずRAYは整備班にあずけてある。
私の仕事と言うのも殆ど無いと判断して、睡眠をとるべく宛がわれた自室へ向かって足を進めるのだった。
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