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24 そして原作へ。

2012.06.15 (Fri)
そうして、ひょんなある日のこと。
授業も終わり、少しの暇を得た私たちは、五反田食堂の上、ダンの自室へとお邪魔することに。

「へぇ、それじゃスバルの進学先はIS学園一択なのか」
「そそ。そのために日本にきたようなもんだしね。まぁ、此処でIS学園以外を選んじゃうと、日本に来た意味がなくなるというか」

IS/VSをやりながら、話す内容は進学先の話。
何せダンのヤツ、内部推薦でとっくに決まっているとか。羨ましすぎる。ねたましすぎる。

「んー、なんだ、強制でもされてるのか?」
「んにゃ。強制されたというか、自分が強制したというか」

何せ、N&Tを――ナンバーズコーポを立ち上げさせたその理由と言うのが、そもそも私がISを手に入れるため、世界を愉しむ為なのだ。
そのためには原作を観測できる位置に陣取るのはかなり重要だ。なにせ、転生者にとって原作知識は最大の武器。それを最も生かすには、イベントから時系列を計測する必要がある。
まぁ、その辺りは人に任せるという方法もあるのだけれども。……いや、ほら。どうせなら直接介入して愉しみたいじゃん。

「ま、色々裏技使っちゃったからね。今さらやめちゃうとマイナスがでかくて」
「ん、如何いうことだ?」
「んー、コッチの話」

コレが例えば国家所属のIS乗りとかだと、簡単に国を出る事ができなくなってしまう。私のように、日本に住処を移動させるとか、何の暴挙だという話。
けど、私に関してはかなり事情が違う。先ず初めに、私は国家所属ではなく企業所属のISパイロットだ。この点から、国が私に対して持つ命令権はさほどの物でもない。国がISコアの所有権について文句をいってきた場合、偶々手に入れたISコアを渡して黙らせる。何せ連中にISを運用する能力は無い。その根幹技術はN&Tに依存してるからなぁ。その上私自身もIS開発に大分貢献している。下手に機嫌を損ねて亡命なんてされても困るだろう。ま、貢献度と袖の下と権威行使の勝利だ。
で、貴重なISパイロットを誘拐される恐れに関してなのだけれども――さて、私とギン姉、仮に誘拐されたとして、生身でもISとやりあえる戦闘機人だ。むしろ護衛をつけてIS《インヒューレントスキル》を秘匿する対象を増やすほうが危険だったり。

まぁ、ダンに関してはそんな裏事情よりも、単純にアイドル育成学校としての面が強いIS学園に対する憧れが強い様子だけど。

「くぁー、いいなぁ、IS学園。女の子しか居ない秘密の花園、ISと言う最新技術の集結する一大拠点。くぅ、男なら一度は覗いてみたい!!」
「ダン、その発言、蘭の前では止めなよ? また蹴られるよ?」
「げ――まぁ、自重するよ」
「第一、女だけの社会とか、そう良いものでもないよ? またしてあげようか、『女社会の裏・女子高編~陰湿な女達』」
「ひぃっ、あのトラウマ話は勘弁してくれっ!!」

私もこの身体に生まれて15年。流石に、元男としての女性幻想なんて物は木っ端微塵に砕け散った。
何せ最初にイチカと友誼を結ぶまでにも大分攻撃を喰らったし。こう、濡れてたりくっ付いてたり染められてたり。
性的な意味でイチカに興味は無いと上手く情報を流せたから良かったものの。失敗していたらと思うとぞっとする。既に精神年齢的には良い年なのに、それでもぞっとしたのだから相当なものだ。

「おにぃ、またアタシのCa―――いっ、イチカさん!?」
「おぅ、蘭。お邪魔してるぞ」

そんなことを話していたら、突如として部屋の扉が爆音と共に開いた。
あーあー、蘭め、折角教えてあげたのに。メールチェックを怠ったな!

――因みに、私は蘭とは友人関係で落ち着いている。
最初はイチカ目当てかと、リンと共に此方を警戒してきていたが、二人の事をさり気無く応援しておいたら仲良くなれた。さすが弓弦世界。ちょろい。






そんなわけで、日本に来てからかれこれ3年。中学一年生に転校した私は、今年になって漸く高等教育へと進学する年齢へと達したのだ。

嗚呼、この3年間は長かった。
ギン姉はすぐに学園に入学しちゃうし、そうなれば私は近所のアパートで一人暮らし。
同じ学年のリン、ダン、イチカの三人は私に良くしてくれたけど、途中でリンが祖国へと帰国。そんな寂しさを味わう事にも成った。

まぁ、いい。いいんだ。これで、今年漸く私の目的。IS学園への入学が果たせる。
くくく、長かった。先に入学したギン姉が、学園内での演習なんかで蓄積した実戦データを本国へ持ち帰って、それを最適化して私の機体に実装。そうして実際にテストを重ねたデータをギン姉へと再送信して……そんなことを繰り返していたのが懐かしい。
今や私のνGは既に完成直後のそれとは明らかに別物へと進化を遂げていた。
オーバーロードを自由自在に起こせる、と言う時点で、どれだけチートな存在になっているかを理解してもらえると思う。

「で、イチカは何処の学校行くって言ってたっけ」
「ん、俺か? 俺は藍越学園だな」

近いし学費も安いし、とイチカ。まぁ、高校を選ぶ基準なんて人それぞれだしなぁ。

「ダンは? 食堂を継ぐにしても、高校ぐらいは出といたほうが良いんでしょ?」
「おぅ。といってもまぁ、俺は推薦でとっくに確定してるからな」
「そんな頭良さそうにはみえないんだけどねぇ」
「ほっとけ!」

そう、この五反田弾は頭がいい。
ISフェチという種族は、近代に至っては極普通に存在しえる。というのも、最近のISに関する狂った宣伝の賜物で、ISとその操縦者をまるでアイドルのように取り扱うというのを何処の国もやっている。
おかげでISに対する一般的な理解は、アイドルに対するそれとなんら変わりの無い様にも感じた。

「でもさ、皆ISISって言うけど、IS操縦者になるって何か良い事でもあるのか?」
「ちょっ、お前、それ本気か!?」

イチカの頓珍漢な言葉に、思わずといった様子で弾が声を荒げた。
そりゃ、ねぇ。
私もこの三年間で、出来るだけの知識をイチカに刷り込んできた。
日常生活の中でも、ニュースの中でも、ISに関する情報と言うのは様々なところで目にした。そういうところに私が居た場合、事細かに、一般常識として、ISに関する専門知識をイチカに刷り込んでいたのだ。

本当、大変だった。
事ある毎にIS知識を刷り込み、ゲームと称してブレオン機での戦術を叩き込む。
今の一夏は、原作よりは若干強化されている。まぁ、肉体面では比較にならないレベルに仕上げはしたけど。

「……イチカ、今の時代、軍事力の優劣はISに左右される、って言うのは既に理解してるよね」
「あ、ああ。従来兵器を圧倒したIS。単機で従来戦力一個師団を壊滅させられるほどのそれ、だったか」
「そそ。それじゃさ、それの操縦者には、IS並みの価値(・・)が与えられるのは理解できる?」
「F1カーが幾ら高性能でも、乗りこなせるドライバーが居なけりゃ成らない、って事だ」

私の説明に、ダンの補足が入って、イチカは漸く首を縦に振る。

「つまり、ISの操縦者にはISそれ自体に次ぐほどの価値がある。圧倒的技量をもっていたりすれば、その価値は更に跳ね上がるわけね。と成れば、当然各国は優秀な人間を自分のところに囲い込みたくなる。高い報酬を支払ってでも、ね」
「野球選手だって、有能なヤツは高い報酬を貰ってるだろ」
「……つまり、IS操縦者って言うのは、それだけで高い価値を持つ、って事か」
「特に有能なIS操縦者はね」

うんうんと頷く。
IS操縦者が持つ価値と言うのは、実は結構高かったりする。
只でさえ女性しか乗れないIS。その中でもAクラスの適性持ちなんて、本当に数が限られている。
そういう人間の価値と言うのは、欲しがっているところからすれば本当に喉から手が出るほど、なのだから。

「でもなぁ。ISって戦争には使えないんだろう? だってのに、そんなに重要視されるのか?」
「そんな建前、いざ戦争に成れば誰も気にしないよ」
「いや、スバル、お前も正直に言いすぎ」
「まぁ、本当にいざと言うときには、多分開発者がコアを停止させるんだろうけどねー」
「……あぁ、束さんか。でも、あの人なら戦争とか起こっても嘲笑してそれで済ませちゃいそうな気が……」

そういえば、イチカは篠ノ之博士と面識があるんだっけか。
でも、なるほど。確かに他人に興味の無い篠ノ之博士のことだ、戦争が起ころうが『馬鹿は馬鹿同士勝手に殺しあってれば良いよ。束さんには関係ないしね』とか言ってスルーしそうな気もする。
あ、篠ノ之博士とはこの三年間の中で一度だけ顔を合わせたことがある。
なんでもイチカの顔を見に来たらしく、その際此方に一瞬視線を向けたのが印象深かった。
ばれたかな?

「それにねイチカ。ISは戦争には使っちゃいけないって成ってるけど、テロや内紛は戦争じゃないんだよ」
「え? ……え?」
「テロリスト集団が銀行に立て篭もったとして、その場合、ISでテロリスト集団を圧殺するとかは禁止されて無いんだよ」

通称「アラスカ条約の抜け穴」と呼ばれるこれら問題点。
ISは戦争に使ってはいけない、と言うのはISの大前提。開発者が直々に唱えたとされるこれだが、どうにもこの話には抜け穴が多すぎる。結果として世界各国ではこの抜け穴を存分に利用し、また利用する為に、この数年でその方面の技術力が一気に飛躍してはいる。

「まぁ、細かい所はいいよね。IS学園は要するにアイドル学園だ、とでも考えて置いたらいいと思うよ」
「最後ので色々台無しだなおぃ」
「しかも間違ってるとも言い難いから、身も蓋も無い」

なんだよ。別に間違っちゃ居ないだろ?
とか思っていたのだけれども。なにせ、相手が悪かった。私が今会話しているのは、Theフラグメイカー、織斑一夏なのだから。

「んじゃつまり、スバルはアイドルに成りたいって事なのか?」
「ブyホッ!!」

何かダンが物凄く奇妙な声を出しながらむせていた。
物凄く失礼だ。裏拳を叩き込んだ私は悪くないと思う。
何かうめき声を上げてうずくまっているが知らない。ちょっと手加減を間違えて機人モードで殴っちゃったかもしれないけど、まぁダンだし大丈夫だよね?

「――ううん、ちょっと違う。私は企業所属のパイロットだから、IS学園に行くのは必須なんだ」
「――って、ええっ!? パイロット!? 候補生とかじゃなくて!?」

と、ポロッと口から零した言葉に、ダンが予想以上に反応して見せた。復活早っ。
まぁ、私が覆面でパイロットをしていたのは、自分がまだ未成年で、事件に巻き込まれた場合の対処力に多少問題があったから、と言うのが一番大きい。
大して現状の私。振動破砕もνGも完成して、戦力的には単機で国を落せるレベルだ。何も問題は無い。
本来国から離れて留学する際、ISは国に預けておくのが普通だ。
けれどもこのνGの場合、もし第三者の手にわたってしまった場合のことを考えると、私の手元に置いておいたほうが安全なのだ。私自身の戦力は一般兵士のそれを圧倒してるわけで。

「うん、N&Tってオーストラリアの会社」
「なっ、なんばーずあんどとーらすぅ!?」
「知っているのかダン」
「う、うむ。――N&T、その源流は数年前、突如としてオーストラリアに現れた義肢開発企業であるナンバーズコーポ(NC)が、突如としてIS分野へと手を伸ばした事が始まりとされている。
かの企業NC社は、IS分野に手を出し、僅か数年で独自の技術を盛り込んだISを完成させ、同国内三本の指に入るほどに成長を遂げた。そして何よりも有名なのがオーストラリア国内で開催されたISによるレース、キャノンボールファスト。途中国籍不明機の乱入で有耶無耶になってしまった試合だが、ここでもNC社製のISは盛大に暴れまくったのだそうだ。そうしてその後、当時オーストラリアを支配していた三社、NC、トーラス、AMIは其々に合併併合を繰り返し、その結果トーラスはNCに吸収され、AMIは技術商社へと身を落した。要するに、N&Tと言うのは、オーストラリア最大手の一流企業だ。そして料理人にとってのあの会社は超一流の台所グッズメーカーだ!!(参考 民明書房刊 『21世紀企業演義録』より)」

うーん、なんて雷電。

「因みに、其処の社長が私の養父だから」
「なにぃっ!?」

ダン、大興奮。

で、何故かうちの鉄工部門で販売してる最高級遠赤外線フライパンを一つ安くで融通する事になったのだった。
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