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25 学園生活云々。

2012.06.15 (Fri)
「頼むスバル、俺にISの事を教えてくれっ!!」

そうして、IS学園に入学したとある昼下りの事。
食堂で何時ものように神盛スパゲッティ(たらこ)を注文して貪っていると、何処からともなく現れた一夏が、突如としてそんなことを言い出した。

「……イチカ、とりあえず座りなよ?」
「お、おぅ」

そういって促すと、イチカも自分がどれ程目立っているのか気づいたのだろう。慌てて正面の座席へと腰を下ろした。
……いや、ねぇ。今さら気をつけたところで、物凄く目立ってしまったのは事実で、そのイチカが話しかけた私は一体何者だ、的な視線がさっきから背に突き刺さるというか。

「で、どうしたのイチカ。イチカが思い悩む事といえば、大抵女の子の事なんだろうけど」
「ぬぐ……いや、実はな」

そういって語りだしたイチカ。
その内容はと言うと、簡単に言うと、セシリア・オルコットなる人間とISバトルする羽目になった。頼れる幼馴染は此方の不注意で機嫌を損ね、四方八方に居る女子に声を掛けるのは何か憚られる。
そこで、ISに対して造詣が深い(は言い過ぎ)私に、一手教授を頼めないか、と頼ってきたらしい。

「ふむ。まぁ、私が教えるのは吝かではないんだけどさ、でも、イチカの幼馴染ってアレでしょ、篠ノ之博士の関係者とかの」
「ああ、うん。束さんの妹。まぁ、箒のほうが束さんに何か確執持ってるみたいだけどな」
「まぁ、そういう内輪の話は知らないけどさ。私よりも、ソッチに教わったほうが良くない?」

何せ、篠ノ之博士の関係者なんだし、と何気なく誘導してみる。

「いや、箒はあくまで箒だ」
「ほぅ」
「それに、箒は束さんみたいな頭を使う暗躍タイプじゃなくて、どっちかと言うと感情が暴力に直結する前衛タイプだし」

うわぁ、と思わず唸る。
何せこの朴念仁、其処まで理解しているくせに、その感情が一体何処から来ているのかを理解できていないのだ。全く、意味が不明だ。コレも主人公属性、と言うやつなのだろうか。

「それに、お前言ってただろ、ISの搭乗時間はそこらの十把一絡には負けない、って」
「まぁ、ね」

何せ既に2000時間は軽く突破している私だ。
此処三年は搭乗平均時間が落ちたものの、それでも毎日近くISに触れている為、累計搭乗時間は随一だという自信は有る。

「だから頼む!この通り!!」

そういって頭を下げてくる一夏。
まぁ、其処まで頼み込まれてしまえば、ねぇ。

「……解った。ちょっとだけ教えてあげるよ」
「本当か!? 頼むぜスバルっ!!」

まぁ、ちょっとくらいは、ねぇ。





※※※※    ※※※※    ※※※※    ※※※※





さて、そういうわけで、先ず最初にイチカにはIS戦闘における基礎を学んでもらう事にした。

「つまり、どんな戦闘でも相手を視界、出来れば体の正面に入れておくというのが重要なわけ」
「うん、わかる。どんな武術だって、相手を視界から外すなんてしないもんな」
「ハイパーセンサーは全方位からの視覚情報をくれるけど、攻撃手段はやっぱり限定されちゃうからね」

自習室の一角に陣取り、スクリーンと手持ちの資料を駆使して、ISに関する基礎的な知識を叩き込んでいく。
とは言っても私が教えるのはあくまで実戦のための知識であり、ISの法や機械的知識なんかは授業と自習で勝手に学んでもらおう。

「さて、相手を正面に捕らえるのは重要なんだけど、その場合機動は如何いう風にすればいいかわかる?」
「え? ……切り込んで一撃じゃ駄目なのか?」
「千冬さん並の技術があればいいよ。つまり、イチカには無理」
「む」

因みにこのイチカは魔改造……とまでは行かないものの、生身での戦闘技術に関しては中々の物を教え込んである。
何せ元が剣道をやっていたスポーツ少年だ。身体をなまらせるのは勿体無いと、軍隊仕込の格闘術なんかを私直々に仕込んで置いたりした。
だからこのイチカ、ナイフとか得意なんだZ☆E!

「大切なのは相手の間合いを読む事。相手の手札を知る事。そして何より、油断しない事だね。ISに限らず、戦いなんてのは間合いの指しあい、なんてのはわかるよね?」
「おう。『隙の無い人間なんて存在しない、要は如何にして隙を制御するか』だっけ?」
「そそ。持論だけど、『制御』こそ人間の本願。自分を律すれば世界を征する……うん、言葉にしちゃうと陳腐に成っちゃうから、あんまり口には出さない事」
「あいよ」

言いつつ資料を渡す。今回の資料は、イギリス製のIS、ブルーティアーズに関するデータだ。

「これは?」
「本国に送ってもらった。何、政府同士はともかく、N&Tはイギリス嫌ってるから」

主にサイコミュの一件で。
BTをへこませるからデータくれって頼んだら、即座に様々なデータが送られてきた。
戦うのは私じゃないんだけどなぁ。

「BTは狙撃を主体とした中距離制圧型。最大の特徴は第三世代IS用兵器『BT』。このブルーティアーズの名前の元になった兵器だね」
「ふーん……うん?『フィン・ファンネル程の機動力、攻撃力は持たない物の、反応性自体はファンネル程度には使える』……ファンネルとかフィンファンネルって何のことだ?」
「うちで開発してるオールレンジ兵器のこと。……コレの事だな」

そう言って、FFを顕在化させる。

「うぉ、飛んでる?」
「コレが私のISの武装の一つ、フィンファンネル。イギリスのBTと似たような物だけどね」

まぁ、あちらが同時制御可能なのが四機に対して、此方の最大制御可能数は12機。その上制御しながら本体も稼動可能。何処に負ける要素があると?
そもそも、ビームの屈折とか意味がわからない。屈折してでも当てるじゃなくて、狙撃手なら最初の一手で当てろ、と。

「BTはコレが四機同時に攻撃してくる。まぁ、素人相手なら勝ち目なんて無いね」
「……」
「大丈夫だって、イチカには私が教えてるんだし」

不安そうな表情のイチカに、そう声を掛けて慰める。まぁ、原作だってギリギリまでBTを追い詰められてたんだ。今のコイツは原作に比べて幾らか性能UPしてるし、負ける筈も無い。と思う。

「んじゃ、次ぎ行こうか!!」

とりあえず、今は明るく、知識を詰め込む事を優先する。
それが、今の私に出来ることなのだ。





    ※※※※    ※※※※    ※※※※    ※※※※




さて、そうしてその翌日。
運よくアリーナの一角に予約が取れたため、放課後第三アリーナにて一人イチカが訪れるのを待っていた。

「おーい、スバルー!」
「おぉ、来たか。……ん? 其方は?」

ふと視線を向けると、イチカの背後には一人の少女が立っていた。
ポニーテールを結った、目つきの異様に鋭い少女。何故か此方をにらみつけていた。

「あぁ、ほら、前に言ってたろ。こいつが俺の幼馴染の篠ノ之箒。箒、コッチは中学時代の友達のスバル・スカリエッティ」
「ん、よろしく篠ノ之さん。スカリエッティでもスバルでも自由に呼んでね。但しスカさんとかは勘弁」
「……篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

あんまり乗ってはくれなかった。残念。

「さて、それじゃイチカ、早速ISに乗ってもらおうか」

そういって、ババンと指差すのは格納庫。其処に収められた、一機のIS。
所謂「打鉄」という日本製第二世代量産型ISだ。

「ば、馬鹿な。この時期に一年生に訓練機の使用許可が下るだと!?」
「ふっふっふ、伝手とコネは使ってナンボ。さぁ、イチカ。それを使って、ISの基本的な挙動くらいは覚えるよ」
「お、おう! 感謝すんぜスバル!!」

言いつつ、勢い良く打鉄に駆け寄るイチカ。
うん、なんだか子供みたいにはしゃいでいるのがわかる。
……と、思ったら急に引き返してきた。

「スバル、コレ如何やってのったら良いんだ?」

思わず額に手を当てた私は、決して悪くない。






「し、仕方ないだろ! 前は試験官の先生がついててくれたんだよ!!」

要するに、嘗てイチカが乗った打鉄は、教員の補助があったため、自分ひとりでISに乗るのは、実質コレが初めてなのだとか。

「さて、それじゃ私のISのお披露目といこうかな。行くよνG」

――ヴゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウンンンン…………………

まるで此方の声にこたえるように。低い駆動音と共に、左腕のバングルに緑色の光が灯る。
一瞬放たれた光は、次の瞬間躯が少し浮き上がり、身体には白い鋼のドレスが顕現していた。

「なっ、専用機だとっ!?」

その篠ノ之箒の驚愕の声に、周囲四方から注目が集まる。
何せ、このνG……[νG-HWS-DFF]はとんでもなく派手だ。私としては片方だけのフィンファンネルで十分なのだけれども、ドクターの趣味で現状の羽ファンネルで行く事が決定している。
なんでも「火力は大いに越した事は無い」とか。何時からトリガーハッピーに成ったんだろうか。
私の戦術特性は機動力特化なんだけどねぇ。

「あ、あの機体はギンガさんの……」

そんな中、何処かからそんな声が聞こえてきた。
ふふふ、ギン姉、確り目立ってるみたいだ。
何せ量産型とこの機体、基本的な部分は同型機だ。現状ギン姉の機体はファンネル型からインコム型に変更されてるけど。
ギン姉のNT適性は低かったし、仕方ないといえば仕方無い。それに、インコム型は追加スラスターとしても機能するから、ギン姉にはあちらのほうが向いているのだろう。

閑話休題。

「さて、イチカ。これから私はBTの動きを再現するから、イチカは好きなように攻めてみな」
「いや、でもスバル? この機体、武装が剣一本しかないんだけど?」

そういってイチカは、自らが着込んだ黒色の鎧武者のようなISを親指で小突く。

「付け焼刃で火器なんて扱えば怪我するからね。イチカは愚直に突撃するのが似合ってるよ」
「……それ、褒めてないだろ?」
「あ、ばれた?」
「てめっ!!」

こちらの挑発に、半ば苦笑を浮かべながら突っ込んでくるイチカ。
くくく、本当、私の干渉の結果かは知らないけど、へんな性格に捻じ曲がってしまった物だ。
FFを四機射出。それを使って徹底的にイチカを翻弄する。
何せFFはBTには無いAMBAC機構が搭載されている。機動力では此方のが圧倒的に難易度は上がる。といっても、機動自体はBTを真似ているから、気づけば簡単に対処できるんだけどね。

「おおおおおおおおおお!!!!」

咆えるイチカ。そんなイチカのはるか下で、病んだオーラを立ち上らせる篠ノ之箒。
そんな彼女のオーラをNT的な意味でビンビンに感じつつも、イチカに修行をつけるという名目の元、必死に無視し続けるのだった。

(後で剣道の相手でもしてもらうようにフォローしておこう)

日和(ひよ)るのも、立派な戦術なのだ。

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