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33 クラス対抗戦。

2012.06.15 (Fri)
と、言うわけでキングクリムゾン。

地上に帰って、リンと模擬戦したり喋くったりイチカと仲直りさせようと暗躍して失敗したり。
そんな感じで、あっという間に時間は過ぎて早くも五月初頭。

来週にもクラス対抗戦が始まろうというような時期にさしかかった。

「キィィィィイイイイイイ!!!!!!! 馬鹿一夏!! 馬鹿一夏!! 私の事を、ひ、ひ、ひ、貧乳って!! 胸なし哀れって!!」
「落ち着けリン。其処まで言ってないって」
「もう許さない、当日はボッコボコにしてやるんだから!! あいつが泣いても私は殴るのをやめない!! フルボッコよ!!」
「解った。解ったから落ち着いて。自棄食いで食べるにはそのケーキ高価いんだよ?」

言いつつ、ネットで有名な某港町にて店舗を構える翠屋なるカフェから取り寄せたケーキを口に入れる。
うん、甘さが絶妙。ふんわりしたクリームがサラリと流れ込んでくる。クリーム独特のこびりつくような硬さがないのだ。まさに神パティシエ。
あと、私はつっこまない。

「朴念仁、間抜け、馬鹿、阿呆、何が今のはよ、全部よ全部!!」
「ああっ、駄目だって、それアタシの!!」
「そうよ、久しぶりに見たら、その、ちょっと格好良くなったかな、って思ってたら、何時の間にか女の子はべらせてるし、しかも金髪と純和風? 同じアジア系なら十分相手取れるけど、何よあの金髪。お尻の位置ドンだけ高いのよ!! アジア系黄色人種舐めてんのかっ!! っていうか、一夏め、たった一年合わなかっただけでどれだけ女の子はべらせてるのよっ!! 確か格好良くなったけどっ!! でも、約束忘れて暴言吐いてっ!! 全部全部、一夏の所為じゃないのよっっ!!!」
「あ、ああ、アタシのケーキ……」

なんという事だ。ガトーショコラにモンブラン、ポワンにフルーツミックスが……ひ、一口でガッツリなんてあんまりだ……あんまりすぎる……。

「……うん? どうしたのスバル、そんなOrzなんかして」
「………(駄目だ駄目だ駄目だ我慢だスバル。リンだって甲斐性無しのイチカの所為で色々ストレスがあったんだろうし、仕方ないんだ。例え輸送費合わせて8000円以上を費やして送ってもらったケーキが八割がた食い荒らされたからといって、キレちゃ駄目だ、良いなスバル。私は大人何だから)」
「うん? 食欲無いの? ならこの最後のケーキ貰うわね?」
「ちょ、おまwww」

パクッと。もう問答無用でパクッと。

「むぐ、おいひいわねこのケーキ」

そうしてこの笑顔である。

「そ、そう? なら、ならならなら、よ、かった」
「ど、どうしたのそんなプルプル震えて。やっぱり調子悪いの?」

そういって心配そうに此方を見つめてくるリン。
アンタがアタシのケーキ食い散らかしたその怒りを我慢してるんだ! なんて怒鳴れれば、どれ程気が楽だったか。
けど、リンって基本一夏が絡まないところだと普通にいい子(・)だからなぁ。

「んにゃ…………そうだね。全部イチカが悪い」
「何でそうなったのかは知らないけど、確かに全部イチカが悪いわ」

言って腕組みしながら唸るリン。
とりあえずこの腹癒せは、明日のリンとの模擬戦あたりでたっぷりとノシをつけて返そう。
くくく、ダブルハイメガ粒子砲は正面から喰らうと相当怖いぞぉ……くくくくくく。

「?」

のんきに紅茶を啜るリンを眺めつつ、内心で地味に復讐を誓っておく。

翌日、ちゃんと復讐は実行されて、リンは半泣きの目にあった事を明記しておく。










さて、そういうわけであっという間に一週間が経った。

そうなんだ。またキンクリなんだ。すまない。

ごほん。
ついに始まったクラス対抗戦。最初の試合は、一年一組対一年二組。第二アリーナにて一番最初に執り行われる事となっている。

「んじゃ、リン。がんばんなよ」
「うん、イチカにガツンと入れてやるんだから!!」

そういって、勢い良くピットから飛び出していくリンの甲龍。
まぁ、展開が原作通りだったなら、この試合はドローになるのだろうけれども。
イチカもリンも魔改造済みだからなぁ。どうなることやら。
因みに、本来は三組のクラス代表である私が他組の試合を見る事は駄目なのだ。秘匿するが故の手札と言うのもあるし。だがまぁ、ぶっちゃけた話、私はあの二人のどちらにもISを教えている。白式も甲龍も、既に手札も糞もフルオープン状態なのだ。それに教えた師としては、二人の成長の程は確り見たい。
と言う話を担当の千冬さんに延々と語りまくったところ、ピットからこっそりとなら、と快く、何か疲れたような様子ではあったが、許可を貰う事ができた。
うん、何も問題は無い。

「お前はどっちが勝つと思う?」
(………………………………)
「まぁ、ISの搭乗時間で考えれば確かにそうだわな」
(……、………………)
「うんうん。織斑家に関してはそのルール無視か、やっぱり」

νGと、サイコウェーブによる簡単な意思疎通。νGの予想ではイチカが勝利する可能性は無視できないレベルらしい。
まぁ、そもそものISが、織斑と篠ノ之のために存在しているような物だし。

とかνGと一緒に考え込んでいたら、どうやらいつの間にか試合が始まっていたらしい。
ピットから飛び出して、暫く茶番というか夫婦漫才と言うか……を、続けていたから最初は見てなかった。

然し、リンも然る者ながら、イチカも中々に腕を磨いた様子だ。
リンの衝撃砲、肉視で確認せずに回避してるや。ハイパーセンサーを使いこなせてる、ってことなのか。
……まさか、私が傍に居た所為でNT覚醒してるとかないよな? だとしたらリアルセイバーじゃないか。いや、白だからリリィになるのかな?

然し本当に当たらない。もし本当に第六感で回避とかだったら、コレこそ本当の超感覚(ハイパーセンサー)だな、と。
まぁ、とは言ってもリンもやっぱり凄い。元々身体能力は私とイチカと遊べる程度には馬鹿高い。その上に手堅く身につけたISの操縦技術。不可視の衝撃砲を見事に使いこなすその戦いは、此処一年程度で身につけたものとは思えないほどのものだ。
……いや、まぁそれを言うとイチカなんて白式に初めて乗ったのはつい数週間前なんだけどさ。

――と、不意にアリーナの空気が変わった。

「ぷ、プレッシャー!?」

思わず仰け反る。背筋に走る悪寒。
殺意――違う。何だコレは。  まさか、闘気!?
敵意でも殺気でもなく、闘気でこのレベルのプレッシャーを放ってるの!?
――さ、さすがは織斑の系譜。才能に関しては化物レベルか。

「しかもこの様子だと、完全にNT覚醒してるよね」
(………………………)
「あ、バイオセンサーに反応? うわぁ」

拙いなぁ。イチカの脅威レベルがじゃかじゃかと上昇している。
一戦毎に大きく成長していくとか、何処の主人公だ――あぁ、ISの主人公か。
その世界に生きる以上、人をキャラと見るのはトリッパー特有の悪癖と言うけど、そうとでも見なければあの成長速度は舐めてるとしか。
何せ此方は戦闘機人。人間やめてるのに、下手したら人間相手に敗北しうるのだから。もう。

「――っと、そろそろだっけ」

とか言っているうちに、そろそろかなと外に傾注する。
頭に刻み込んだ原作知識。一応ノートにも残しているけれども、確かそろそろアレが登場するはずだ。

――ドゴォンッ!!

不意に響く爆音。見上げれば、天壌に張り巡らされた遮断シールドが大きく波打ち、その中心に大穴を見せていた。

そうして、其処から静かに入り込んできた一機のIS。
ISには珍しいフルスキンタイプの、まるでゴリラのような姿のIS。
確か、ゴーレムⅠだったか。オーバーマンを思い出したのは私だけでは無い筈。

――『お前はどうするんだよ!?』

とか思ってたら、νGのオープンチャンネルに突如としてイチカの悲鳴じみた叫びが響いた。

「うるさっ」

慌てて音量を調節して、そのまま外の様子を伺う。
幸いピットの中からこっそり見ていたおかげで、此処からなら何時でも出撃は可能だ。
――おっ、イチカがリンを抱き寄せた。くぅ、男だねぇ!!

『もしもし、織斑くん聞いてます!? 凰さんも! 聞いてますー!?』

あー、なんだ。マヤちゃんガンバ!









さて、それでは此処で一考してみようと思う。問いは原作介入に関して、だ。

私個人が定めたグランドタスクは、“人類の宇宙圏への進出、及び革新”だ。
まぁ、CBみたいな真似をする心算はないけれど、出来ることは少しずつやってきた。
その成果として、現在宇宙に拠点を三つほど設けた。といっても目的はあくまで「人類の」宇宙圏進出。一企業だけが突出していても仕方が無い。ゆくゆくは全人類が宇宙へと自由に行き来できる世界を作りたい。
といってもまぁ、社の利益は損なわないようにする心算だけれども。
理想を掲げるのも大切だけど、先ずは現実と戦わなくちゃね。

で、原作介入。
ぶっちゃけ此処まで介入しておいた、何を今さらといわれるかもしれない。
然し、だ。まだ引き返せる。何せ私が活躍しているフィールドは、あくまで「目の外」。物語に語られていない場所なのだ。

然し、今から介入しようと言うのは、“原作”に確りと描写の存在する本編だ。

――転生者としての悩み、のような物は、存在しない。
よく二次SSとかには、転生者が「もう既にここは漫画の世界じゃなく~」「此処に生きる一人として~」とか偽善タラタラに語る。
でも、私にしてみれば原作知識という強力な武器を手に、自らの欲望に素直に生きて何が悪いのか、と。
漫画だろうが現実だろうが二次SSだろうが、私がここに居て、考えて、行動する。それだけの話だろうに。

助ける力はある。
気持ちとしては、助けたい。
理性としては、助ける事で起こりうる誤差、其処から生じるデメリットを避けたい。

「……まぁ、いいか」

どうせ、既にかなり原作から乖離してしまっている。
特に篠ノ之束の行動パターンなんて、既に予測もつかない。色々干渉しているからねぇ。

肩をならして、ピットに備え付けられている連絡用の端末を中央管制室へと繋ぐ。

「管制室、此方第二ピット。1-3のスバル・スカリエッティです。正体不明機を抑える為の出撃許可を」
『お前もか……』

繋いだ途端、そんな台詞が帰ってきた。

『先ほどオルコットにも説明したのだが、現在第二アリーナは敵機のハッキングを受けている。遮断シールドはレベル4で固定され、扉も全てロックされている。進入は不可能だ』
「問題ありません。この程度の出力ならば、νGで破れます」
『何……?』

怪訝な顔をする織斑教諭。それも当然だろう。
遮断シールドと言うのは、ISの攻撃を観衆に届かせないための、絶対的な防壁だ。
スポーツであるISで、観客に怪我など出すわけには行かない。それゆえに遮断シールドと言うのは、ISの出力……ISコアの出し得る最高出力よりも高い出力に設定されているのだ。
単純に力技ではこじ開けられない。そういう代物なのだ。

『それは――いや、問答は後だ。どちらにしろ貴様は突入させられん。聞いた話、貴様の期待はイギリスのBTと同類だろう。ならばその機体は……』
「問題ありません。この機体はあくまで汎用型。少なくとも接近戦で弟君に負けたことはまだ有りませんよ」
『なら連携訓練は?』
「80時間ほど」
『……そのときのお前の役割は』
「適時適応型ですので、パーティーメンバーに合わせて何処にでも」
『……許可する』

よし、上の許可は取った。なにやら端末からキンキン声の罵声と言うか文句と言うかが聞こえてくるが、まぁ私の知った事ではないだろう。

言葉もなく展開するνG。薄く淡い翠の光を放ち、次の瞬間に身を包む純白の鎧。
途端、サイコフレームの影響か知覚範囲が一気に拡大する。
わかるのは、勇気、愛情、そして無邪気な邪気。

左腕シールドに取り付けられた、二連装ハイパーメガ粒子砲を、遮断シールドに向けて放つ。
放たれる黄金の光に、数瞬耐えたシールドは、けれどもその次の瞬間弾けとんだ。
シールドを突き破った二つの閃光はそのまま件の侵入者のISへと直進し、寸前のところで回避されてしまう。

それでもイチカ達から意識を引き剥がす事には成功した。
そして、アリーナへの侵入にも。

さて、それではキメ台詞。
大統領魂(レッツパーリィィ!)もいいし、メタトロンの意志(はいだらぁぁ)なのもいい。
だがまぁ、此処は一つ。

「墜ちろ、蚊トンボ!!」

そう叫んで、引金を引き絞るのだった。


・ISのお約束――勝負事に決着はつかない!!
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