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34 ゴーレムⅠ型あっさり風味

2012.06.15 (Fri)
突如としてクラス対抗戦に割り込んできた黒いIS。
一夏と鈴音は、その不審な挙動から鑑みて、それが無人のISではないか、と判断した。
もし、二人のISにエネルギーの余裕があったのなら。もし、黒いISが乱入してきたのがもう少し早ければ。二人は、それに巻き込まれてしまっていたかもしれない。

―――――――――!!

「リンッ、離れろっ!!!」

突如背筋を襲う激しい悪寒に、一夏はとっさに鈴音に声を掛け、白式に回避行動をとらせる。
それに一瞬送れて回避行動をとった鈴音のすぐ真正面を、極太の二筋の閃光が通り過ぎた。
光の筋は二人の脇を通り、黒いISを狙い空を行き……あと少しのところを、黒いISは辛うじてそれを回避した。

『墜ちろ、蚊トンボ!!』

不意に通信に響いたそんな声。
声に釣られて四方を見回す二人。そんな二人の視線の先で、黒いISが上空を睨みつけていた。
釣られるように空を見上げた二人。其処には、純白の戦乙女。彼と彼女の知る限り、最強の一角に立つであろう存在。

「「スバルっ!!」」

不意に揃った二人の歓喜の声に、空に舞う白銀の戦乙女は、小さく口元を歪めて応えるのだった。





Side Lin

そうして飛び出してきた純白の機体は、空中を立体的にカクカクと飛び回る特徴的な機動を見せながら、一瞬にして所属不明ISに接近すると、空中で突然ガツンという凄まじい音が鳴り響いた。

「な、何!?」
「げっ」

思わず悲鳴染みた声を上げてしまう。見ると、イチカは引きつったような表情で音源と思しき上空を見つめていて。
くっ、角度的にスバルの機影と所属不明機の姿が被ってちゃんと見えなかった!!

「あいつ、よりにもよって殴り飛ばしやがった……」
「はぁ!? なんでそんな――いや、そういう事ね」
「如何いうことだ?」
「いいから、一度此処から離れるわよ!」

言いつつ、一夏を引きずってフィールドの隅へと退避する。
見たところ出入り口は塞がれてるみたいだし……スバルのぶちあけた穴からなら入れるかしら。

とか考えていたら、一夏が説明して欲しそうな表情で此方を見ていた。

「簡単に言うとね、私たちからアレを引き剥がしてくれたのよ」

スバルの機体、νGにはビームサーベルが実装されている。接近戦を仕掛けるのであれば、当然ビームサーベルで攻撃したほうが威力は高い。然し何故かスバルはそれをせず、自らのシールドエネルギーも消耗するであろう打撃を攻撃手段として選んだ。
その目的は多分、あの機体を殴り飛ばして、私たちから距離をとらせる事が目的だったのだと思う。
ビームサーベルだと、多少の衝撃はあっても打撃としての威力は低いからね。

「なるほどな。でも、どうしてあいつが……」
「……スバル、私側のピットで観戦してたのよ。あそこからなら侵入は簡単だったでしょうしね」

見れば、いまだに粉塵収まりきらぬ私側のピット。其処には何等かの高エネルギーをぶつけられたような、酷く融解した無残な遮蔽シャッターの姿があった。

『おーい、リン、イチカ、聞こえてる?』
「うおっ!?」
「うっさい一夏! 聞こえてるわよスバル」

オープンチャンネルに一々反応する一夏。まったく、動きは良いくせにそういうところだけまだ素人なんだから、バランス悪すぎない?

『コレ、多分狙いはイチカだわ』
「えっ!? 何で俺が」
「…………」

あー、頭イタイ。

『あのねイチカ。男性IS操縦者って言うのは相当価値があるって、アタシ何度も説明したよね?』
「そういやそうだっけ?」
『そうなの。で、今こうして私が抑えてるけど、正直面倒だからイチカがコイツ倒しちゃってくれない?』
「はぁっ!?」

いきなり何を言い出すんだコイツはっ!!

「馬鹿言うんじゃないわよ! 一夏は素人に毛が生えた程度の操縦者なのよ!? 所属不明勢力のISといきなりガチンコなんて自殺行為よ!!」
『んにゃ、多分大丈夫だと思うよ? 何だかんだで一夏のデータ取りが目的っぽいし。むしろデータ取りの邪魔してるほうが危険。平行角度で本気ビームとか使われちゃうと、下手すると観客席に被害が出かねないし』

それなら望み通り一夏に相手をさせて、手加減してくれている内に倒したほうが効率的だ、とか。

「本気?」
『本気本気。っていうか、相手側が私を潰す為にリミッター解除しだしたみたい。倒せない事はないんだけど、アッチに本気出されるとこっちも本気出さなきゃ駄目で、そうなるとアリーナ消し飛ぶし』

おいおいと思いつつも、実際さっきよりも動きが良くなっているような気がする所属不明ISを見て、仕方ないかと納得する。
第一、隣に居る一夏が、前に出たそうな顔をしているのだ。

「……仕方ないわね。その代わり、私も一夏のサポートに入るからね」
「え、ちょ」
『うん。それじゃアタシは前衛で囮でもしてるよ』

言いつつ、凄まじい速度で桃色の光を散らしながら格闘戦を行うνG。

「ちなみにイチカ。あの機体中・遠距離戦向けの機体よ」
「えぇっ!?」
「完全近接戦向けの白式なら、スペック上アレくらいは出来て当然な筈よ。確り見て勉強しときなさい」
「……」

言いつつ、機体を前へと進ませる。
残量エネルギーには、まだ若干の余裕がある。
3対1、その上スバルのサポートがあるのだ。コレで負ければ笑いものは間違いなし。

「行くわよ!」
「おうっ!!」

声を掛け合って、瞬時加速。
丁度、意図的に(・・・・)作られたと思しき弾幕の穴。そこから所属不明機に向かって、二人揃って突っ込むのだった。

Side Lin out






というわけで、ゴーレムⅠ型に喧嘩を売りました。
うん、ちょっとマジヤバイ。さすがは篠ノ之束。何この機体。
ごつい外見に似合わず、地味に反応が良い。多分一夏よりも反応いいんじゃないだろうか。
いや、此方の攻撃に対してオートで反撃してきているんだろうけど。
どうやらロックオン反応から乱数回避につなげてる、と言うわけではなく、なんらかの思考パターンに沿って、普通に反撃もしてくる。回避自体をトラップに使ってくる事も有る。
うーん、一夏よりも戦闘能力は間違いなく上だな。

というか、やっぱり本編介入は止めとくべきだったかなぁ。
何せ本編で起こるイベントの大半は、篠ノ之束によるヤラセだ。手を出せば怪我じゃ済まず、手を出さねば何時巻き込まれるかわからないストレスに襲われる。
さすがは篠ノ之束。存在自体が悪質。
とりあえず技術をひけらかすのもどうかと思うので、今回はファンネル使用封印で普通兵装のみでの戦闘を意識しているのだけれども。

と、そんなことを考えている間に、直感。イチカとリンがゴーレムに向けて斬り込んだ。
さすがのゴーレムも、三対一は状況的に不利と判断したのだろう。一度此方から距離をとろうとしているのがわかった。

「イチカ、零落白夜でぶった切れ! なんかコレ無人機っぽいし、手加減とかいらないと思う!!」
「はぁっ!? 無人機のIS!? ISは女性じゃなけりゃ動かせないってのが絶対じゃないの!!」
「そうかっ!!」
「って、イチカァアアアアア!!!!」

人の話を聞けと怒り狂うリンに、そんなことより今はあれをぶっ飛ばすのが先だと冷静(?)に反論する一夏。
いや、イチカ、このタイミングでそれは火に油――って、あら。真剣そうなイチカの表情見て、リンがポになってる。これは棚ボタかな?
まぁ、誰の得なんだか知らないけど。本人が幸せならそれでいいんじゃないだろうか。


―――おっ

なにやらイチカの思考が洩れてる。どうやら原作でいうアレをやるらしい。
如何でもいいけど、遠距離戦向けの機体で近接高速戦闘とか結構辛いんですけど。私は板垣学じゃないぞ。――あー、このネタは通じないか。

「イチカアアア!!!」

とか考えてたら、突然響スピーカーから響いた大音量。

「男なら、男ならそのくらいの敵に勝てずしてなんとするっ!!」

そういやこんなイベントもあったなぁと思いつつ。
いやいや篠ノ之箒。あんた戦っても居ないのにその程度て。
コレ、手加減してくれてるけど結構面倒な相手だよ?

で、当然の流れとしてゴーレムの注意を引いた篠ノ之箒。当然ゴーレムはその主兵装を篠ノ之箒の方に向ける。冷静に観察していればそれがフェイクだとわかるのだが、それに過敏に反応した一夏が、リンに衝撃砲を放たせ、それを瞬時加速で取り込み――と言う流れ。
私の立ち回りは、ゴーレムに牽制をかけつつ、後のために少し距離をとって――。

「おぉぉぉおおおお!!!!」

(俺は……千冬姉を、箒を、鈴を、関わる人全てを――守る!!)
何か熱血的なイメージがキター!!

――斬っ!

吹き飛ぶゴーレムの片腕。それと共に殴り飛ばされるイチカ。
対消滅する遮断シールドと、直後に降り注ぐレーザーの雨。

気が緩んでる一夏。……なるほど。絶対防御は搭乗者を守るための最終機構。故に、搭乗者のいない無人機では、最後の最後まで粘り続ける事が出来る、と。

「イチカッ!!」

言葉がはしる。
途端にゴーレムに向き直るイチカは、咄嗟にゴーレムに向かおうとして――思い切り横にむかって回避した。

――うん、NTって便利。

直後に雨霰と着弾するビームとミサイル。
轟音を立てて煙を上げるそれら。νGから放たれた雨霰は、既に中破していたゴーレムをそのまま粗大ゴミへと作り変えて。

――――――――!

イチカの意志が迸る。
弾幕を止たその瞬間、それでもとしつこく粘るゴーレムに、イチカが純白の剣を振りぬいた。


ザンッ、という音と共に唐竹割りに真っ二つになったゴーレム。うん、見事な太刀筋だ。あの最後の一刀は嘗ての最強と呼ばれた一夏の姉の姿に被る。
――まぁ、コレにて一件落着、かな。

「い、イチカアアアア!!!」

とか思ってたら、何かイチカが墜落していくのが見えた。リンが追いかけてたから大丈夫だろうけど……あぁ、初めての実戦で、緊張の糸が切れた、ってやつかな。

途端大騒ぎになる第二アリーナ。スピーカーから響く篠ノ之箒の声だとか、セシリア・オルコットの声とかリンの悲鳴とか。

まぁ、何より、管制室から放たれている、このブラコンなプレッシャーが一番怖かったりするのだけれども。

と、とりあえず、一件落着。


せ、セシリアェ……。
只でさえチョイ役のチョロイのは、今回完全に出番を奪われました。いや、レーザーの雨って登場はしてるんだけどねぇ。
なんだかゴーレム退治が処理っぽくなってしまった。やはり本編介入は難しいなぁ。
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