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35 そして再び宇宙

2012.06.15 (Fri)
「いや、確かに設計案を出したのは私だけどさ……」

ソロモンを訪れた私の眼前、そこに佇む一機の巨大な鋼の塊を見て、思わずそううめいた。

「どうです、見事な物でしょう!! ミス・スカリエッティの提唱したフォールド理論、そしてその派生技術とされたクロノストリングエンジンとHALO制御システムを搭載した大型宇宙戦闘機!!」

目の前に聳える、全長30メートルほどの巨大な機械。それは、ISに頼らない新たな宇宙での可能性を模索する為の一案として考え出された物だ。
――いや、フォールド技術を小型化しよう、と言う中で、小型化の際に如何しても出力が安定しない、と言う問題点があったのだ。
そこで思いついたのが、同じく超時空干渉系システムであるクロノストリング機関。いけるかなー、と思って概念だけ提唱して、後は研究者の皆様に任せてみたところ、このクロノストリングエンジンを見事に現実化させてくれたのだ。
いや、さすがはマッド集団。開発速度がおかしすぎる。幾ら作業用オートマトンが大量に存在しているからって、前に来たときから二週間で仕上げるとか、頭おかしい。

「GA-000……開発コード“銀河天使《ギャラクシーエンジェル》”計画ね」
「ええ。機体サイズは全長28.5メートルと、開発中のヴァルキリーシリーズの倍という少し大きな物になってしまいましたが、その戦闘能力はヴァルキリーの倍どころではありません!」
「出力の方は?」
「問題は其処ですね。やはりクロノストリングエンジンの制御と出力は反比例、と言うのは相変らずで。ご要望の通りクロノストリングシリンダーは一本にしてあります。扱えれば無敵ですが、無理だとどうなる事やら」

なるほど、と頷く。
クロノストリングエンジンの特徴として、その出力の莫大さ、それと反比例する制御能力と言うものがある。
クロノストリングエンジンは、HALO機関による直接思念操作、人の意志によるダイレクトな制御で操る事で、莫大なエネルギーを引き出すことが出来る。然し当然の話コレは途轍もなく難易度の高い手法で、CSEシリンダーと呼ばれるパーツを増やす事で、このエンジンの安定性を向上させる事が出来る。対価として、エンジンの出力の低下という面が存在するのだが。
で、安定させつつ莫大な出力を得ようと思うと、単純に数を増やして安定化させるしか方法が無いという、大艦巨砲主義というか、一発屋と言うか、なんとも極端な、とてもではないが量産機に使えるシステムではなかったりする。

「使い方はさっきの説明でわかるが、GAシリーズな、私に使えるか?」
「ミスの制御能力は未知数です、保証できる訳ありません」
「はっきり言う。気にいらんな」
「どうも。気休めかもしれませんが、ミスならうまくやれますよ」
「ありがとう。信じよう」

――ニヤリ。
思わず担当員と握り拳を交わしてしまった私は悪くない。






と言うわけで、早速乗ってみる事にした。

「……で、何やってるんですかセンセイ」
「あら、遅かったわね。アタシのやりたい事はもう済んだから、後はどうぞご自由に~」

コックピットから出てきた白衣の女性。入れ替わりで見れば、ピッカピカのコックピットの中、何故か破られたビニールが。

「いや、いいけどさ」

いってから、コックピットに入り込み、システムを立ち上げる。
――HALOシステムによる意志干渉アクセスを確認。高度情報処理を開始。
――HALO接続良好。システム起動。
「システムチェック開始、オペレーションシステム正常起動、各部システム正常に稼動。出力安定」

呟きながら、静かに起動していく機体を眺める。
リニアシートを覆う全天周囲モニター。映し出されるのは灰色の格納庫と、すぐ傍で喜びの笑みを浮かべる整備兵。

『どうやら上手くいったみたいですね!!』
「うん。でも油断は出来ないからね、このまま少し制空領域内で試運転してみようかと思う」
『了解しました。貴女なら問題は無いでしょうが、くれぐれもお気をつけて』
「Thanks!」

言いつつ、退避する担当整備員。
彼が管制室へと退避すると同時に、鳴り響く警報音と警告ランプ。赤く染まる格納庫は次第に減圧され、それと同時に室内に響く音は消えていった。

『減圧完了。ハッチ開放、リニアカタパルト・エンゲージ』
「了解。GA-000、スバル・スカリエッティ、出撃する!!」

重力制御が遮断され、途端ゆっくりと浮き上がる機体。
磁力投射装置により打ち出された機体は、一気に加速すると、そのまま機体を走らせる。
うーん、……ごめん。納得した。なるほどISはスポーツだわ。





この機体、GA-000。オリ主らしく、GAシリーズを再現する前にオリジナル機体を作ってみたこの機体なんだけど、何か色々おかしい。
駆動方式は基本的にCSエンジンを利用したエネルギー出力方式で、制御さえ可能であれば事実上の半永久機関を搭載している。といっても、エネルギーの戦闘時の消耗量は連続生成量を上回っているから、戦闘機動は連続で精々120時間。パイロットのテンションを考えると戦闘継続時間は8時間。私で三日ほどだろうか。
起動補助としてイナーシャル・コントロールシステムも搭載しているし、此方はしっかりとISで蓄積された技術を流用させてもらった。
次。この機体の基本的な装備は、GA-001、ラッキースターと呼ばれる機体を元に、オリ主らしくパワーアップさせた機体になっている。といっても単純に対IS戦闘を考慮した武装……量子撹乱チャフとか、誘導ビームの本数を増やしたりとか、そういった解りやすい改造しかしていない。
いや、CS機関開発の由来から、CSジャンプよりも安全面で優れている高度フォールドジャンプをワープの基礎システムに変更したり、色々魔改造はしたけど。

「然し、これで現実味を帯びてきたわけですよ」

IS世界におけるトリッパー向けグランドタスク。つまりは人類の外宇宙進出。
この機体が完成したという事は、宇宙におけるN&T社の技術レベルがある一定のライン、大体地上の技術の八世代は先にたどり着いた、という事の証明足り得る。

現在某デブリベルトにて開発中のマクロスリジェネレイト。あれにもコレと同じフォールドシステムが搭載されており、つまり安全性の高い超時空航法が確立されたという事。
後は、これが完成し次第全世界に向けてN&T名義で某イオリアの如く演説をすればいいんだけど。
うちの会社、広報に良い人材が居ないからなぁ。今の認知度だって、実績に他の会社が恐怖して勝手に有名になっただけだし。その他のキッチン用具とかゲームソフトだとかなんて、ネットの口コミだし。

ただ、問題が一つ。

前々から此方に干渉してきていた不審な電波。つまりは篠ノ之束と思しき人物からの干渉が次第に目立ち始めているのだ。
以前は興味本位でアクセスしようとしていただけなのだろうが、何度も此方がプロテクトで侵入を弾くので、向うに尚更強く興味をもたれてしまったのだろう。
いや、弾くというか、ダミーサーバーに誘導していたのだが、どうもそれに気づかれたらしい。やっぱりダミーとはいえ、サーバーにアニメを保存しておいたのが拙かったんだろうか。

現在、篠ノ之束はまるで挑むかのようにして定期的に此方のサーバーにハッキングを仕掛けてきている。
まぁ、うちのメインサーバーはアクシズにある量子型演算コンピュータなので、普通に考えればアクセスは不可能だ。何せ処理速度からプロトコルまで全く違うのだから、既存のコンピュータでのアクセスは常識的に考えて不可能。地球人が日本語で宇宙人とファーストコンタクトを取ろうとしているような物だ。
まぁ、相手は篠ノ之束。万が一のことを考えて、サーバーまでのルート上に幾つものダミーサーバーと防御壁、更には接続網自体を複雑化させて一部管理をサーバーにさせたりと、かなり複雑化させている。これならば、多分大丈夫だろう。少なくとも、私たちが地球から出て行くまでは。

因みに移住先の最上位候補はバーナード星系だったりする。
いや、冗談半分に調べてみたら、この世界では居住可能惑星に分類されてた物だからつい。
フォールドジャンプを使えば半月ほどで到達可能な其処。流石にGAシリーズでは、燃料に問題が無いとは言え生活空間の確保が不可能な為、まだ実地調査を行うという段階ではない。然しそれもリジェネレイトが完成し次第、実際にあの惑星に調査団を送ろうという計画になっているのだそうだ。
いや、確かにマクロスなんだから惑星揚陸機能はあるんだけどさ。もう既に世界観がISとか関係なくなってきてる。いや、私ぁいいんだけどさ。


「この調子なら、アレの完成も間近って考えても?」
「ええ。もう既に概要は完成しています。後はアレの主力とも言うべきアレを確りと制御する為のインターフェイスの確立なんですが……」
「まぁ、亡国機業に奪われでもしたら大損害だし、いいんじゃない?」

GA000と並び、この世界観に似つかわしくない、私の手札の一つ。
規格をパワードスーツサイズに抑えた、男性でも扱える対IS装備。
そしてそれの量産型。
……チクショウ、私ぁ一体この世界を何処に向かわせる心算なんだか。
好き勝手開発したものの、何だかんだ言って私も大概ドクターに汚染されてるし。

――まぁ、世界の行く末なんてのは、政治家の皆様に考えてもらおう。
何せ私はこの世界に生きるただの小市民。一般人でしかないのだ。まぁ、軍需系の企業に所属してるけど。
とにかく、世界の行く末とかは私は知らない。







とりあえず、暫くは地上のIS学園で遊んでようかな。

■GA-000
現在開発中のヴァルキリーシリーズの前に、技術的集大成として開発された機体。
時空弦発振式主機を精神感応型制御装置“H.A.L.O”により制御する事で無限のエネルギーを引き出すことが可能。但しその出力は安定性に反比例する。
モデルはGA-001“ラッキースター”。装備面なんかは大体コレのパチ物。但し制御系が複雑化しており、カオスタスク保有者であるスバル本人以外は操縦不可能という難物。
他のGAシリーズ及びRAシリーズは開発予定無し。

■例の“アレ”
通称百合計画。
黒百合と呼ばれる特殊パワードスーツの実験データを下に開発されている通称“百合水仙”ならびにこの一連をそう呼称する。
特殊な機構を備えており、従来のIS関係者の度肝を抜く機能を備えている。……が、N&T社としては他と比べると地味で、外部では戦闘兵器として評価が高くとも、社内では作業用のパワードスーツ扱いをされる。
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