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36 金色プリンス降臨

2012.06.15 (Fri)
はい、地上に戻って寮に帰ったら、なにやら周りの女子たちが奇妙なほど浮き足立っていました。
で、ちょっと適当に一人捕まえて話を聞いたところ、イチカに関する一つの噂話が出回っているのだとか。
なんでも、「今度の学年別トーナメントに優勝した物は、織斑一夏との交際権を手に入れられる」とか。
――――あー、なんだったか。確かこんなイベントもあったような気がする。
なんだったっけ、確か篠ノ之箒がイチカに告白したら、あの朴念仁が酷い曲解をしたとか、そんな話。

とりあえず私がすべき事は、何にも無い。
――いや、一応リンの手助けはするべきかな? 確かリンってリアル厨二病――じゃなくて、ドイツ娘に撃墜されて本選には出場できなかった筈だし。
まぁ、今のリンはたかが軍人如き相手にしたところで、余裕で勝利できるだろうけど。
アドヴァンスド? 此方はアドヴァンスドマシナリーな私が教えたのだ!! 格上相手の戦闘なんて当たり前だろう!!



「と、言うわけで訓練です」
「何がと言うわけなのかわかんないわよっ!!」

言いつつ、シェンロンを展開させるリン。
その姿は自然体でありながら、何処にも隙が見とれない。教え込んだ八卦掌寄りの太極拳。思うにリンのシェンロンって如何考えても防衛向きなんだよね。持久力に優れているというのはつまり、長期間にわたって数で押しつぶすというのを最初から考えているようにも見えるし。
で、より長く生き残れるようにアドバイスした結果、リンが身につけたのが中国拳法。いや、『拳児』教えたら嵌っちゃって……。

で、現在のリンは凄まじく強い。主に防御型の戦法を得意としており、此方が不用意に攻め込むと、それを引き込んで体勢を崩し、出来た大きな隙に強烈な一撃を叩き込むという、近接型泣かせなIS操縦者となっていた。
反面射撃の方は成長せず、『いっそのこと面制圧にしてはどうか?』なんて不用意にアドバイスしてしまった物だから、現在衝撃砲を範囲攻撃型に換装するプランを本国と練っているとかどうとか。
うーん、機体相性的には遠距離からジワジワ削っていれば十分勝てるんだけど、既に真正面からやりあいたくは無いレベルだ。
さすがはチッパ――じゃなくて、リンだ。ヒロイン補正は伊達じゃない、ってか。

「と言うわけで、あたしの勝ちー!」
「なんでよー!!!」

正面からの殴り合いで何とか辛勝を得る。
ははは、リンってば根が素直だから、コッチがわざと作った隙に綺麗に引っかかってくれる。
予め狙われているのが解ってるんだから、作る隙をこちら側からコントロールしたと、ただそれだけの話。

「ぬぐぐぐぐ……!!」
「まぁ、素直なのはリンの美点なんだけどね。日常でもそれくらい素直なら、イチカももう少し……」
「わーー!!!」

試合の反省点を話して、慌てるリンを見て愉しむ。
まぁ、リンの動きと言うのは本当に素直なのだ。喜びも悲しみも全て乗った、“人”らしい拳とでもいうか。

「うぅ、やっぱり本格的に心意六合拳でも習ってみるべきかしら」
「いや、アレはリンには合わないんじゃない? やるなら八卦掌を確り身につけるとかのがいいと思うよ

「因みにスバル、最後のアレ何?」
「ん? ムエタイのサイ・リウ・ランを、ちょっと透頸っぽくした技。流石にそのままアレを当てると、リンの顔がグチャグチャに……」
「アンタは私を殺す気かっ!!」

いや、殺す気は無いって。だから手加減したでしょうに。

「全く。何とか体勢を崩せたと思ったら、崩れた姿勢から回し肘って!!」
「リンの化勁も良かったんだけど、残念ながらリンのクンフーでは私を往なしきるのは無理よ。文字通りクンフーが足りないわ」
「ぬぐぐぐぐぐ!!!」

といってもまぁ、多分一夏には十分勝てるレベルには仕上げてある。
まぁ、技量云々以前にリンがイチカに本気で挑むというのが無理だろうから、あんまり意味は無いんだけど。

まぁ、少なくとも。
どこぞの厨二病に瞬殺されるとか、それだけは絶対にありえないから。
寧ろ此方がアレを瞬殺するんじゃないだろうか。何せ機体相性的には良くも悪くも無いわけで、衝撃砲で牽制しつつヒットアンドアウェイで攻めてればそのうち勝てる。

「ねぇ、そういえばなんだけど」
「うん?」

突如として話を切り替えてきたリン。
何事かと首をかしげると、なんだかポワンとピンク色の空気が周囲に漂いだして……って、拙い!

「実は今日ね、ちょっと思い切って一夏を夕食に誘ったのよね。そうしたらあの馬鹿、めんどくさそうにしてたけどちゃんと私に付き合ってくれて、で、色々話してたんだけど、そしたら何だかダンのところのランが此処にくるとかいう話に成ってて、全くあの子まだアタs――じゃなくて、まだ狙ってるみたいでブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…………………………………………………」

「―――――――――――」








と言うわけで、一組に転校生が二人程来たらしい。うざい。
うちのクラス――というか、一年生――いや、全学生が妙に騒がしい。ウザイ。
何せ、転校生の内一人は、世界でただ一人といわれていた男性IS操縦者、織斑一夏と同じ男性だそうだ。ウザイ。
で、浮き足立った生徒たちは、現在1-1にその身を集めている。全学生の9割が一箇所に集まって黄色い悲鳴を上げているのだ。正直頭が痛い。そしてうざい。

そして何よりもウザイのが、この昼食時。
折角自慢の懐石風弁当を静かに食べようと思ってたのに、何故かリンに誘拐され、そのまま一夏のハーレムと一緒に屋上でお弁当を食べる羽目に成ってしまっていた。

いや、それは良い。それはいいのだけれども。
目の前でアーンをし合う、パッと見バカップルな二人と、それを囃すブロンド貴公子。そしてその言葉で猛る虎仙人と戦女神。
正直コイツラが一番うざい。アピールしたいなら直接アピール擦ればいいだろうに。
……って、あーあー、酢豚とサンドウィッチの押し付け合いとか……あーあー。

「キミは参加しないの?」

とか傍観していたら、いつの間にか傍によってきていたブロンド貴公子。
シャルロット・デュノア。いや、シャルル・ジ・ブリt……シャルル・デュノア。

「私はあくまでも友達であって、異性としての興味は無いなぁ」

と言うか、イチカを自分の旦那にとか無理。既に十数年女子をやっていて、男子相手に対する忌避感は薄れてきているが……。それでも、ああいったエロゲの主人公みたいなタイプは選ばないだろう。JK。

「ふーん……あぁ、ボクはシャルル・デュノア。ヨロシクね」
「ん。スバル・スカリエッティだよ。ヨロシクね」

と、名乗った瞬間にシャルルが思い切り目を見開いた。

「す、スカリエッティって、もしかして、N&Tの……?」
「まぁ、そうだけど。そういうソッチはデュノア社のでしょ」
「う、うん……」

何か様子がおかしい。もしかしたら、件の父親とやらに、私(N&T製IS)のデータを得るようにでも言われているのだろうか。
まぁ、NEXTもNMSSも世代にして2~3世代なのに、既存の同世代型を圧倒するとか言う意味不明なデータが出てるし、他所にしてみればデータだけでも喉から手が出るほど、と言うやつだろう。
まして、落ち目のデュノアであれば尚更。

……いや、無いか。流石に疑心暗鬼が進みすぎている。
幾らなんでも、織斑一夏に対する接触が最優先目標に設定されているであろうに、その上で私にまで接触するのはあからさますぎて危険を伴う。
まぁ、スカリエッティの名前は知る人ぞ知るという名前だし、聞いてみたら当たってしまって驚いた、とでも考えておこう。もしくは予備知識としてN&T所属パイロットの情報を小耳に挟んでいたとか。

「まぁ、あんまり言いふらす事じゃないから、出来れば内密に」
「あ、うん。わかったよ」
「といっても、私のはあえて隠すほどのことでもないから、気に止めておく程度で」

頷くシャルルを確認して、再び視線を戻す。
うーん、恋する乙女は恐ろしい。
そしてイギリスのチョロイの。お前は駄目だ。料理の勉強を――とまでは言わないが、せめて味見くらいしやがれ。……味見してそれなら絶望的だが。

とか考えていたら、不意に一夏がシャルルを見つめた。
――キュピィンッ!!
そのとき脳裏に電流奔る。無駄に発揮された私のNT能力。それは即時に手を懐に沈み込ませ、其処に忍ばせておいた万能端末から記録機能を起動させた。

「…………………」
「どうしたの、一夏?」
「いや、男同士っていいなと思ってな」
「そ、そう? よくわからないけれど、一夏が良いならよかったよ」

う、わぁ……。
しみじみと呟く一夏に、少し頬を染めて返すシャルル。これ、クラスの連中に幾らぐらいで売れるだろうか。少なくともゼロ4つは固い。

「……男同士がいいって何よ……」
「……不健全ですわ……」
「……灯台下暗しに気付かぬ愚か者め……」

そして陰鬱に呟く三馬鹿。だから羨ましいならそれを前面に出してアピールしなさいと。
白い目で一夏を見る三馬鹿を更に白けた目で眺めつつ、今撮影した映像が一体幾らくらいで売れるのかを頭の中で計算しているのだった。








「きいいいいい!!!!!!!! 『何が男同士って良いな……』よっ!! あたしみたいな美少女が目の前に居るってのにっ!! 私これでも雑誌のモデルとかもやってるのよ? 容姿にはそれなりには自信もついてるの。だってのにあの馬鹿、よりにもよって『男同士って良い』とか、何非生産的な事をほざいてるのよおおおおお!!! アレか、昔っからいくらアピールしても反応が悪いと思ってたけど、実はゲ○でした、同○愛者でしたって落ち!? ――はっ、そうよだから昔からダンとは仲が良かったのよ。昔からアンタと私とダンとイチカの四人でつるんでて、私とアンタなんて結構美少女なのに殆ど反応しなかったじゃない? それって実は元からダン目当てだったと考えればあたし達に目をやらなかったのにもなるほど納得できるじゃない。何よ最大の敵はランじゃなくてその兄のダンだったなんて盲点を通り越して予想外すぎるわよっ!! くそぅまってなさいよ一夏。私がアンタを正常な道に戻してあげるからね、この鳳鈴音の魅力を持って、全力で、ノーマルに引っ張り戻してあげるわ。覚悟しなさいよ一夏ぁぁぁ!!!!!!!!」

「うぅぅぅぅ、イチカめぇ……」

結局その日の晩、延々と一夏に対する愚痴を語り続けられる羽目に陥ったのでした。


「え? どうしたのスバル。このイヤホンをつけろって? また下らない悪戯じゃないでしょうね――[少女試聴中]――ブハッ!!」
「キャアアアッ!!?? い、イリーナ!? ちょっとスバル何したのよ!? え? 私にも――[少女試聴中]――ブフゥッ!? ………ふぅ、コレ、幾らかしら。買うわ」
「駄目よイルマ。それは私が買うの」
「いえ私が……え? ある程度のコピーを用意してある? ……流石だわスバル」

こうしてまた3組の結束は高まるのである。
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