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39 原作は順守される様子です。

2012.06.15 (Fri)
その後保健室へと搬送されたリンを追った。
イギリス娘とか如何でもいいのだけれども、リンは大事な幼馴染だし。

到着した保健室。実質は救護室なのだろうけれども、学校と言う体裁上保健室と言う呼称らしいというのは実に如何でもいい話だ。

「おぉ」
「おっ、スバル。来てたのか」

で、リンが目覚めるのを待ってたら、丁度目覚めそうな頃合に何処からともなく現れたイチカ。シャルロットもといシャルルが追従しているのが減点対象だが、まぁリンは気付いてない様子だし、いいのかな? さすがギャルゲ主人公属性。実に見事なタイミングでこの場を訪れるのだから。
主人公補正と言うものが本当にねたましい。パルパル。

「別に助けてくれなくて良かったのに」
「あのまま続けていれば勝っていましたわ」

で、目覚めて最初の一言。

「嘘だ~、リンはオルコット庇って直撃受けて意識飛んでたし、オルコットなんかその直前のダメージで機体中破してたじゃん」

思わず反論したら、うっと黙り込む二人。でも、隣のイチカをチラリと覗いたら、また再び元気に喋りだす二人。
面倒くさいなもう。

「好きな人に格好悪いところを見られたから、恥ずかしいんだよ」
「ん?」

で、いつの間にか何処かへといっていたシャルル王子が見事な一撃を見舞った。
思わず内心で拍手喝采を入れたのだけれども、さすがの主人公属性か、肝心のイチカは聞き逃していたらしい。コイツ耳腐ってる。

「ななな何を言ってるのか、全っ然っわかんないわね! こここここれだから欧州人ってこまるのよねえっ!」
「べべっ、別にわたくしはっ! そ、そういう邪推をされるといささかどう申しますか――っ!」

で、そんな反応を見ても首をかしげるイチカ。コイツ本当に氏ネばいいと思う。
しかたないなぁと笑うシャルルに落ち着くよう促され、烏龍茶を流し込む二人。そんな様を眺めながら、同じく烏龍茶を流し込んでいると、何処からとも無く地響きが聞こえてきた。
凄いな、先の展開を知っているから理解できるけど、私の第六感が悲鳴を上げるほどのプレッシャーとは。思春期の乙女は化物かっ!

で、惨状――もとい参上したイチカのクラスメイト達。
凄まじい勢いで詰め寄る彼女を往なすイチカは、見事な挙動でシャルル・デュノアとペアを組む事を発表。リンとオルコットを適当に往なし、見事にその場を治めてしまったのだった。










――おのれぇ!!

部屋に帰って一息いれて、途端に湧き上がるもの。膨れ上がる怒り。友達を攻撃されて、肝心の私がアレを仕留め損なうとは。
フィン・ファンネルを出し惜しみしなければ、あの程度瞬殺も容易かったのだろうが……。
無しで十分と言う私の目算が計算違いだった、と言うだけの話なのだが、だからこそ何よりも腹が立つ。
私は、友の仇討ちに、手を抜いてしまったのだ。
何よりも、そんな自分がいらだたしい。
ファンネルを使わなさ過ぎてわすれていたとかそういうことはだんじてない。ないったらない。

「そうだ、黒百合あたりで奇襲仕掛け……」
「止めなさいおばか」

いきなり背後から頭を叩かれた。
何事かと背後を振り返ると、見た事のない顔の女子が一人。
……いや、もしかして?

「……ドゥーエ姉?」
「久しぶりねスバル」

言って、此方を抱きしめてくるドゥーエ。ああ、私の直感で気付かなくて当然か。いや、正確には気付いていたのだろうけれども、それを危機対象だと認識できなかったのか。

「でも、如何やって此処に。幾らドゥーエ姉でも、世界中のセキュリティの集大成な此処に来るのは面倒だったでしょ?」
「んー、クアットロが手伝ってくれたからね、チョロかったわよ?」
「……クアットロの技能を恐れるべきか、それに破られちゃう学園を嘆くべきか」
「といっても、流石に織斑一夏周辺と、地下への通路は流石に厳しいんだけれどもね」

そういって苦笑するドゥーエ姉。
久々の再会を喜び合いつつ、ある程度きりが付いた所で椅子に腰を下ろす。
机の上には、今淹れたばかりの煮出しミルクティー。

「で、ドゥーエ姉、どうして此処に? 単純に会いに来た、ってわけじゃないんでしょ?」
「まぁ、そうなのだけれどもね。あなたに会いに来たってのもうそじゃないのよ?」
「わかってるってば」
「ならいいのだけれど。私の目的なのだけれどもね、貴女にドクターから言伝があったのよ。『ドイツ機』への過干渉を控えるように、って」
「はぁ?」

ドイツ機、つまりはシュヴァルツェア・レーゲンに対する干渉を控えろ、と?

「今現在、あの『黒い雨』にはVTシステムっていうのが搭載されているのよ」
「VTって、ヴァルキリー・トレース? 昔ドクターが千冬さんの動きをゲームに入れたいって作って、何故かISの動作補助プログラムになったアレ?」
「そう、それ。どこぞの馬鹿がアレを『黒い雨』に仕込んだらしいのよ」

VTシステムとは、その名の通り織斑千冬(ヴァルキリー)の動作をパイロットに投影(トレース)するというソフトだ。コレを用いればその機体のパイロットの腕に関わらず、常に織斑千冬の技術を一定量投影することが出来る、と言うものだ。
但しこれ、基本的に失敗作なのだ。何せ元が織斑千冬の挙動だ。あの人って殆ど直感で動くセイバータイプな人だ。ただ挙動を真似れば追いつけるとか言うような生易しいレベルではない。
第一、あくまでアレはゲーム用にと作られたのだ。ドクターが監修してる所為でかなり出来はいいが、あくまでゲーム用。実戦で使うにはまだまだ未完成の代物だ。

昔ドクターが未完成のVTシステムを使った同人ゲーム、『ヴァルキリー・トレーサー』が元ネタで、どこぞの企業の馬鹿がそれを参考に仕上たシステム。ドクターは「あくまで同人だからね、真似されても寧ろ光栄だよ」とか言ってたが。
まぁ、まさかゲームシステムを兵器転用するとは思わなかった。いや、IS(へいき)を玩具にしている私が言えた事ではないんだけど。

「ま、折角だからデータ取りをしたいってドクターが言い出してね。まぁ、織斑一夏の当て馬に用意されたみたいだし、手を出さないで欲しいのよ」

スバルが手を出しちゃうと舞台が喜劇になっちゃうでしょ? とドゥーエ姉。失礼な。

「いいけど、それって学年対抗戦でしょ? 組み合わせとかで決まっちゃった場合はその限りじゃないと思うんだけど」
「んー、ほら、そのあたりはチョチョイと、ね?」

そういって首をかしげるドゥーエ姉。
まぁ、クアとドゥーエが組めば、大抵の情報セキュリティは突破できるだろうし、抽選の組み合わせを弄るくらいは……軽いのかな?

「まぁ、とりあえずそういうイベントが発生するように調整が行われてるのよ。でもアンタの戦力は如何考えてもイベントを根底から覆しかねないから、手を出さないで頂戴ね、ってお話」
「いいけど……でも、私が全く動かなかったら逆に怪しまれちゃうよ? そこらへんのフォローは?」
「そのあたりはアドリブに任せるわ」
「ちょ」

まぁ、頑張りなさいな、なんて呟いて踵を返すドゥーエ。慌てて引きとめようと室外へ一歩足を踏み出す。
けれども既に其処にはドゥーエの姿は無く、感じられる彼女の気配も既に希薄な物となっていた。
……っていや、NTの直感を誤魔化せる戦闘機人とか。本気で恐ろしいんですが。

「……まぁ、いいか」

本当なら、今から学園サーバーにハッキング仕掛けて、こっそり抽選を弄ってしまおうか、なんて企んでいたのだけれども。
具体的には第一試合で私対厨二病で一気に原作ブレイク、とか。
まぁ、それも出来ないとなってしまえば……。

ごろりとベッドに横になって、当日の行動予定を頭の中で組み立てるのだった。




その日、1-1クラス副担任山田麻耶は、何時も通り揉め事の多いクラスの後始末を織斑千冬に押し付けられ、終わったのは日も暮れた良い時間。漸くの思いで方法の体で教員寮に足を運ぶ最中、不意に聞こえてきた声に思わずその風景を覗き込んで、そうして息を呑んだ。
「この屑ども! トロトロ走るんじゃない!!」
――ひっ。それは、極普通の光景。グラウンドで、女子がランニングをしていたのだ。そう、普通の光景なのだ。
問題は、女子が丸太を担いでいたり、時刻が既に日を越していたりとそんなところなのだけれども。
「全く何たるザマだ!貴様等は最低の蛆虫だ。ダニだ、この宇宙で最も劣った生き物だ!!」
そして、山田麻耶はその声に聞き覚えがあった。同じ一年のクラス担任で、3組の担任を務めるロシア人女性の声だ。本人曰くソ連人らしいけれども。
「いいか糞虫共!、私の楽しみは貴様らが苦しむ顔を見ることだ! ババァの[禁則事項です♪]みたいにヒーヒー言いおって!!みっともないと思わんのかっ!![禁則事項です♪]があるならこの場で[禁則事項です♪]てみろっ!!!」
何たるお下劣。その言葉は女権主義の台頭でついつい色々捨てそびれてしまった乙女である山田麻耶にしてみれば、少々刺激の強い物だった。
――然し、凄く楽しそうな顔ですね。
山田麻耶は思う。3組担任の彼女は生粋のサディストだ。簡単に言うとドSだ。然し生徒に対して一定の成果を出させているので文句も出ない。当にプロフェッショナルなSなのだ。
「ひぃ、も、もう駄目ぇ……」
と、そんな中一人の少女が倒れた。茶髪の日本人女性。国家推薦などではなく、一般入試で入ってきた少女だ。やはり国家所属の人間に比べて基礎的な体力は如何しても落ちるのだろう。
とか思っていたら、またドS節が始まっていた。
「また貴様か、所詮貴様の根性などその程度のものだ。ならば家へ逃げ帰って、お前が大好きな櫻♯翔とやらの写真を抱いて寝るがいい、尤も、お前のような腰抜けが惚れているアイドルの事だ、さぞや救いようの無い早○野郎なのだろうな!!」
「わ、私の翔クンの悪口言うなあっ!!」
と、ヘロヘロの体で殴りかかる少女。然し相手は鬼教官BARARAIKA。足をかけて転ばすなんて生易しい事はしない。見事なアイアンクローで締め上げた。右手一本で女子一人持ち上げるのだからどれだけの怪物なのだか。
「何度でも言ってやる、櫻♯翔は早○野郎だ!違うと思うならガッツをみせろ!丸太を抱えてあと10周だ!」
「チクショウ!チクショウ!!チクショウ!!!チクショォオオオ!!!!! ニュースゼロで全裸待機ぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!!!」
――いや、そんなこと幾ら深夜だからって大声でカミングアウトはどうかと……。
そんなことを考えながら、山田麻耶はゆっくりとその場に背を向けて歩き出す。
これ以上この場に留まると、私まであの訓練に参加させられかねない。何せ相手はあの鬼教官BARARAIKA。入試の時に織斑一夏に敗北した事で、何時だったか「機会があれば鍛えなおしてやる」とか言ってた。あの人はマジでやるときはやる。そしてコレは私にとってのピンチだ。
そう、大丈夫だ。問題ない。退路を確保し足跡を消せ! 爆薬と食料は此処で放棄、ランデヴーはポイントα、ヘリのETA反応を……
「うん? おや、其処に居るのは麻耶ではないか」
「ひっ」
「うん、丁度いい。お前も混じれ」
「い、いえ私は明日も授業が――「この前の訓練といい、小便臭いガキに押し倒されてしまうなんぞ弛んでいる。どれ、私が鍛えなおしてやろう」
そういって、いつの間にか近寄った彼女に首筋をがっしりと掴まれた山田麻耶。
――知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない。
そんなテロップが彼女の脳裏を横切ったとか横切らなかったとか。
「ぴ、ぴぃぃぃいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!」
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