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41 終焉の始り

2012.06.16 (Sat)
《エマージェンシー! エマージェンシー! 現在当基地は敵性勢力からの攻撃を受けています。全ての職員は直ちに脱出艇による退避を。繰り返します……》

「まさか、こうも直接的な手にでるとは」

響き渡るエマージェンシーコール。ソレを聞きながらおもわずポツリと零れた言葉。

『アハハハハハハ!!!! 消えちゃえイレギュラー!!!』

頭痛ぁ。
オープンチャンネルで響き渡る無数の声。どうやらコレが敵性体の声らしいのだけれども。

放たれるのは幾重もの大型ミサイル。
何処から手に入れてきたのか、如何見ても旧式の第二世代ISだと言うのに、強引に取り付けられたミサイルや、何処から持ってきたのかわからないVOBで此方の基地を襲撃してくるIS群。

「亡国機業? でもなんでさ」

思わず何処かの某錬鉄の英雄の如く呟いて、首を振って意識を居れ直す。
現在の状況は、ソロモンに突如現れたIS群が突如として此方を攻撃。幸い宇宙要塞として設計されていたソロモンだ。鎧袖にIS用ミサイルを数発受けたくらいでは如何という事は無い。
のだけれども、ソロモンは最初期に設計した宇宙基地だ。正直、脆い。あくまでも宇宙進出の為の足がかり的な基地なのだ。
幸い研究者チームは既にリジェネレイトに移住が済んでいたからいいものの、現在この基地に残されている戦力はとても少ない。
この基地に残されている戦力とはつまり……。

「……アタシ一人にIS五機ってどんな鬼ゲーよぉ……」

暴れまくるIS群。コレをとめられる戦力は、現在手元に一つ。つまり、私のνG一つなのだ。
……いや、無理ではないと思う。たかが旧式の第二世代、赤子の手を捻るよりも軽い。

「んだけど……ええい、ままよっ!!」

メインフレームのターミナルを操作する。予め用意しておいた関係者用LANを使いメールを送る。
現在このソロモンに残るのは、施設を最低限稼動させる為のイノベイドと、引越しの準備をしている研究者が数名。引越し準備をしていた面々は既にイノベイドのPS(パワードスーツ)に護衛されてこの場を脱出したし、後は残りのイノベイド達が逃げる時間を稼ぐだけだ。

手首に填められたバングル。白のそれを確認して、即座にνGを展開する。
幸いソロモンの通路はバカみたいに広い。ISが自由に……とまではいえないけれども、滑空して余裕がある程度のスペースはある。

『――スバル様、我々には構わず、どうか脱出を』
「馬鹿、お前達は大切なアタシの道具なんだ。潰れるまで確り使ってやるんだから、こんな所で捨てたりするもんか!」

と、νGでの移動中、突如として開かれた通信。この基地のイノベイド……赤毛の代表からの通信に、思わず檄を飛ばす。
イノベイドは――彼等は、全て私の謀略の元に生み出された、私の大切な道具だ。こういう言い方は失礼かもしれないけれども、それは事実。だから其処は否定しない。
けれども、だからこそ私は大切にする。例え使い捨ての道具であろうとも、使える限りは使い切る。ソレが、せめてもの私の矜持。

「第一、残ってるシャトルを放棄するのも勿体無いの!」
『然し』
「ゴチャゴチャ言ってないで早く脱出しろ!!」

そう怒鳴って通信をカットする。

―――?
「問題ないよ。ソレよりも、行くよ!」

小さく呟いて、目の前のハッチを開く。
本来の開放シークエンスを無視した所為で、勢い良く抜け出す空気。その流れに乗って、一気に宇宙へと飛び出した。






「ああ、それとこのソロモンは放棄するよ」

事の始まりは、ソロモンへと帰省していた際、ドクターが言い放ったそんな一言から始まった。

「は? 何故に?」
「うん。リジェネレイトやアクシズが完成しただろう? アレに比べると此処は、少々手狭に成ってきてね。施設的にも既に旧式になってきたし」

あくまで此処は橋頭堡だとするドクター。確かに此処は、宇宙進出するに当たって、確りとした拠点を設けるまでの仮の拠点として建設された。それゆえに所々補強されていない部分とかも残っている。原作のソレと違って、核なんてぶつけられれば一発で砕けかねない。

「と言うわけで、私たちは移動するよ。スバルのほうも、あと少しすればアレのサイコフレームの調整は終わるから、ソレが終わり次第持って行ってくれ」
「ドクターは?」
「私はリジェネレイトに。まぁ、アレも完成したし、デブリベルトからアクシズの元に移動するのだけれどもね」

そういって気軽に手を振ると、ドクターはそのままスティグロに乗り込みリジェネレイトへと移動していった。

事が起こったのは、その数時間後。
漸くアレの自動整備が完了し、地上への移送を開始しようとしだしたその矢先の事だった。









『落ちろ落ちろ落ちろぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!!』
「お前が落ちろぉぉぉぉおおおお!!!!」

派手に暴れまわっているISたちの中心。一機だけ妙に派手に暴れまわるそのISに向けて、背後から可能な限りの火力を一気に叩き込んだ。
――赤い翼を背負った赤い機体。妙に大きな右腕をつけたソレは、何処かで見た事があるような気もするのだけれども……。
不意打ちでは成った幾重のビーム。然しその赤い機体は、背負ったエネルギーの翼を盾に、此方の放った全てのビームを遮断して見せた。

「なっ!?」
『フフフ、私のエナジーウィングの前にはお前なんてエエエエエエエエエ!!!!!!!!』
「エナジーウィング?」

そうして、今度はそのエネルギーで出来た翼から放たれる幾重もの光の矢。スラスターを吹かせて回避する。どうやら追尾性能は無い様子だけど……。

「シルヴァリオ・ゴスペル?」
『私を、あんな噛ませ犬と並べるなっ!!』
「はぁ?」
『虐殺です!』

えっと、えっと、……まさか、ギ○スぅ!?
でも、いやいや、んな馬鹿な。いや、でも……あぁ、紅蓮聖天八極式だっけ?! いや、紅蓮だとぉ!?
でもなんで? いや、確かにイギリスに口イド伯とか居たし、スカウトうちでISの基礎工学の研究とかやってるけどさ。
ナニ、インドからラクシャータさん探さなかったからフラグたったの!?

「何処から紛れ込んだ!」
『ソレは手前だろおおぉぉぉおぉおぉおおおぉおぉぉぉおイレギュラアアアアアアアアアアアア!!!! 私が真のオリ主で、ひんぬーチャイナっ子とかひんぬードイツ娘とイチャイチャラブラブぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ロリロリロリィィぁわぁああああ!!!あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!』

ぞっとした。背中につめたいものが奔った。
――コイツはやべぇ。変態だ。

『私は神に選ばれた転生者だというのにぃ!! イギリス選抜ではチョロイのに敗北して日本へは行けず!! その上テロで誘拐されて亡国機業で洗脳の上インプラントボムだよ!! 何だよコレ!!IS適性Aなのにステータスの幸運値はD-とかか!! ふざけんな転生者補正はどうなってんだチクショウ責任者出て来いヒャアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!』

……えー……。
ナニ、つまり、アレは私以外の転生者、と?
なんだかなー。折角謎っぽいのが登場したのに、コッチの推理の前に全部自供してくれたし。
なんだかなー……。

『だからっ!! 私は真のオリ主として、貴様を倒すっ!!』
「いや、意味が解らない」

なんだか知らないけどこいつが不幸な人生をたどってきたと言うのは、勢いから何となく理解した。
けど、何故そこで私に敵対すると言う選択肢になるのかが意味不明すぎる。
……いや、本人の自供通りなら、洗脳されてるって事?

「つまり、洗脳されてアッパラパー?」
『誰がアッパラパーだっ!! 寧ろサイコーにクールだっ!!』

そんな言葉と共に放たれる赤い気円斬っぽいの。咄嗟にシールドで弾くが、エネルギーを大いに削られた。

『落ちろ白兜ぉ!!』
「いや、確かに白いし兜だけど……早っ!!」

直感にしたがって咄嗟に回避。スラスターでの微細機動によって全ての攻撃を回避するのだけれども、……くぅっ!!

『ははははは!! 遅い遅い遅すぎるぅ!!貴様に足りない物!!それは、情熱思想理念頭脳、気品優雅さ勤勉さ!! そして何よりもオオオオオ!!!はy「言わせるかあああっ!!!」ちょ、おまwww』

アニキの口上こそ防いだものの(ってーかそれは言わせない。そりゃアタシの台詞だ!!)、肝心の戦闘では未だ押され気味だ。何せ機動力が違う。此方がイナーシャルコントロールとエネルギースラスターの複合式であるのに対して、あちらはイナーシャルコントロールと、多分エナジーウィングの複合式なのだろう。
ちくせう、意地張らずに“光り輝ける運び手”くらい搭載しとくんだった。幾ら「種」系技術嫌いだからって……!!

『アハハハハ!!! はじけろイレギュラー!!』

不意にガツンと機体を襲う振動。何事かと見れば、いつの間にか消えた赤い機体の右腕。そして、其処から伸びるラインと、その先に繋がれた鉤爪。

「がっ、い、インコム!?」
『スラッシュフィストってんだよおおおおお!!!!!!』

い、いけない!! 此方はほぼ全身装甲という硬めの機体だからまだ耐えられるが……。
反応速度こそ此方が上回っているおかげで、なんとか致命傷は避けている。のだけど、絶対的な速度が全くと言って良い程に追いつかない!!

「くっ!!」

何か、何か無いか!?
直感でなんとか回避と反撃は出来ているものの、速度が、全くと言って良い程に足りていない!!
あのチート兵装である輻射波動砲がある限り、一発でも直撃を食らえばアウト。肉を切らせて骨を絶つなんて戦法を取ろうものなら、その瞬間に文字通りはじけてしまう。

「くっ、いけ、フィンファンネル!!」
『甘い!!』

ガコン、と音を立てて変形する。って、まさかっ

「いいっ!?」
『吹き飛べ!!』

その瞬間に放たれた赤い光。拡散輻射波動(でんしれんじ)砲と言うやつかっ!!

咄嗟にフィンファンネルを下げるも、間に合わずに数機のファンネルがぶくぶくと不気味に膨れ上がり、そのまま爆散した。

「くぅうううう!!」
『ふはははははは!! このグレンに、その程度でええええ!!!』

拙い、本格的に拙い。
蓄積したダメージにより、そろそろ追加装甲がウェイトになってきている。HWSをパージして、素のνG、それもファンネルが削られて片羽になってしまっていた。
くぅ、何か、何か手は――って、ああっ!?

――有る。

まだ、奥の手が一つ。だが然し、アレは確実に諸刃の剣。使うタイミングを見誤ると、間違いなくこちらが討たれる。
タイミングを……。

『落ちろイレギュラーアアアアアア!!!』
「単一仕様! 『νGは伊達じゃない!(オーバーロード)』ォォォォオオオオオ!!!!」

バチリと、何かが嵌ったような感覚が響いた。
ガチリと、撃鉄が上がったような感覚がした。
赤い機体から放たれた赤い光は、νGの内側からあふれ出すライトグリーンの輝きに押し流されて。

『輻射波動砲弾を弾いた!? なっ、コレは』

唸りを上げて一歩轢く

「――全く。偶には全力で戦らないと、完全に鈍ってるよ……」
『さ、サイコフレームの過剰反応(オーバーロード)だとおおおおお!!?? イレギュラー、キサマァアアア!!!』
「さぁ、終わらせてやる!!」

感覚の信じるまま腕を振るう。
まるで識者に従う大楽団のように、ミドリのうねりは意のままに動く。

『そんな虚仮脅しが――』
「いいから黙って落ちろっ!!」

うねる緑色の瀑布は、そのまま赤い機体を飲み込むと、そのままソロモンのハッチの一つへと叩き込んだ。あの威力ならば、シールドエネルギーも切れて行動不能だろう。
本来なら、シールドエネルギーが切れた時点でISの展開は解除される。つまり、ISスーツしか身に纏わぬ軟な生身が宇宙と言う苛酷な環境に露呈することになるのだ。
――が、どうやら都合よく、あの赤いのの着弾の衝撃で緊急シャッターが作動したらしい。ふん、運が悪いとかほざいて居た割りに、確り補正は効いてるじゃんか。……ご都合主義だなぁ。

「さて、ちゃっちゃと残りの機体もかたしちゃいましょうか」
――。
「……は? コレってそんなに燃費悪いの?」
――――――。
「そか。んじゃ、やっぱりちゃっちゃと終わらせちゃいましょか!」

頷いて、再び機体を加速させる。
正面から地価ずくノズルフラッシュは、4機の機影を現している。どうやら赤いのが撃墜されたのに気付いたほかの四機がこちらに向かってきているらしい。
寧ろ好都合!!

「行くよνG、お前の力、もう少し借りるよ!!」

鼓舞するように声を上げて、再びνGは気炎を吐くのだった。
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