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44 Rebirth

2012.06.21 (Thu)
--Side Other



「が、はぁっ……」

ガラガラと音を立てて崩れ落ちる廃材の中。そんな声と共に、一本の腕が天に向けて突き出された。
いや、正確には天でも上でもない。何しろその場では、上下と言う概念が当てはまらないのだから。

「ち、くしょう……イレギュラーめ……」

飛び散った廃材は、まるで重力を感じさせない動きでフワフワと宙を舞う。それもそのはず、その場所は月に等しく地球から離れた宇宙の片隅に存在する人工物の中なのだから。
そうして這い出してきた少女。赤い髪の毛をショートで纏めた、嘗ては快活であっただろう少女。その眼は暗く淀み、一言で言うならば腐った魚のような目をしていた。

数十分前。少女はこの世界のイレギュラーである存在を圧倒的力を持って叩き潰す為、この基地に対して襲撃を掛けた。
少女の得た力はIS適性Sと、とあるアニメの技術体系知識。亡国機業に取り込まれたとはいえ、その圧倒的な実力と力は健在。それを持って、イレギュラーを斃し、それを持って自らが表舞台へと台頭する。
そのはずだったのだ。

「おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれおのれ、おのれええええええええええええ!!!!!!」

少女の怒気に呼応するように、その右肩を覆うISが激しく明滅する。
けれども、顕現するのは身を守る最低限のみ。現在の彼女のIS、グレンは、既に先の戦闘でエネルギーを使い果たし、今は彼女が地上へ戻るまでの間、最低限のエネルギーバリアを張り、少しずつ帰還分のエネルギーを必死に溜めているのだ。

けれども少女の憎悪は止まらない。
少女は手早くグレンのコンソールを立ち上げると、即座に自らの機体の状況をチェックし始める。
エネルギーは最低限。機体は左腕及びスラスターの70%が大破。

(……これでは、エネルギーが回復したところで、あのイレギュラーを終えないじゃないか!!)

憎悪に歪む彼女の視線。そのとき、まるで何かに呼ばれたかのように少女が視線を動かした。

「――急速エネルギーチャージャー……ツイてるじゃないか!!」

それは、IS学園や軍などのIS関連施設には必ずおかれている、ISに対して急速にエネルギーをチャージする為の装置だ。
エネルギーチャージャーの使用はISコアに対して負担を掛ける。然し、軍などでは訓練とあわせて常にエネルギーに余裕がある状況であるとは限らない。
万が一の時に備えた装置。それが、エネルギーチャージャーだ。
そしてそれは、奇しくも彼女が突っ込んだ格納庫にも設置されていたのだ。

「エネルギーは……くふふふ、一機分はゆうに在るじゃないか!! コレこそオリ主のご都合主義ってやつじゃないか!!」

エネルギーチャージャーは、ISというトンデモ兵器に充電を行えるという、ある意味これもまたとんでもない装置だ。そんな装置が、何故この廃棄された基地でまだ生き残っていたのか。
それは、このチャージャーの特性上、一度このチャージャーのキャパシタに電力を取り込み、それをエネルギー変換するという必要があるのだが、これは要するに基地そのものの電力が落ち、徐々に抜けていくはずだったキャパシタ内のエネルギーが、彼女が突っ込んできたときには未だ完全に抜け切っていなかった、と言うことなのだろう。
即座にISをチャージャーに接続。そのまま急速にエネルギーを充電する少女。

(これでとりあえずエネルギー問題は解決した。後はイレギュラーに如何やって追いつくかだけども……)

彼女にあるチャンスはあまり多くない。彼女の目的であるイレギュラーの抹殺は、遅れれば遅れるだけ原作イベントが進行してしまうという不利点があるのだ。

(けど、IS学園に襲撃をかけるのは拙い)

幾ら彼女とて、一対多の状況で圧倒できると思うほどの自信家ではない。
まして、IS学園は彼女にとっても有用な場所だ。此処で襲撃を掛けるのは、後にも先にも愚行でしかない。
であれば、矢張り殺るなら今回、このタイミングこそが望ましいのだ。

(けれどももう――いやまて、此処にISの充電器があった? ッてことはつまり……)

キョロキョロと周囲を見回す少女の視線の先に、無重力にフワフワとたゆたうコンテナの姿が眼に入る。
そうして、其処に刻まれた文字は――。

「これは――運命だ」

取り付き、コンテナのハッチを開放する。
途端にあふれ出たのは、ISのパーツ、パーツ、パーツの山だ。
優に数機分以上はあろうかというIS用のパーツの山。彼女の知識を用いれば、このパーツで機体を再生――いや、昇華させるにはそれほどの時間も必要としないだろう。

「私は未だ戦える!!」









グレン改め、ソウエンと名付けられたその蒼と黒のツートンカラーの機体。
グレンはそもそも亡国企業で盗み出したISコアを用いて作られた機体だ。その際に考慮されたのは、亡国企業という背骨の弱く、かつ消耗の激しい組織でいかに整備メンテナンスを充実させるかと言う点。
その点で鑑みれば、世界有数の汎用ISを有するN&Tのパーツを使うというモノだった。
コア構想を有するN&Tのパーツは、その汎用性ゆえに世界各国で利用されている。流出品を使うにしろ、盗み出すにしろ、整備性の面も鑑みればこの技術を使うのは必然。
そうしてコアシステムに順ずる機能を有する彼女の機体と、ソロモンに残されていたパーツの相性がよかったのは、ある意味では必然であった。
コンテナには量産品のパーツしかなかったが、扱い辛い特化装備などあっても使いようが無い。量産品しかないという事は、彼女にしてみれば寧ろラッキーな事柄なのだ。

「何処だ、何処に居る、イレギュラー!!」

地上であれば音速などというモノを軽く超越した速度で宇宙を直進するソウエン。
背中には馬鹿でかいブースターが一つ。それは、ソロモンに残されていたランチやVOBを無理矢理改造して作られたIS用航宇宙装だった。

本来なら追いつけるはずの無いその宇宙で、彼女は得た知識をフルに活用し、全身全霊を以って今このとき、再びスバルに追いつこうとしていた。

「――其処か!!」

ソウエンのピックアップした拡大画像。けれどもそれは、ボロボロになって廃棄されたISの姿。
当然其処には搭乗者の姿は無く、ISコアもまた抜き出されているのだろう。

「――まさか」

少女は思う。そんなまさかと。
ISの機体というものは、作ってすぐに使えるというわけではない。
ISの機体を用意し、ISのコアを用意し、機体とコアのマッチングを行い、さらに搭乗者と機体とのフィッティング・マッチングを行う事で漸くISはまともに稼動させる事が出来るのだ。

現在、もし彼女の敵が持ち出してくるISがあるとすれば、それは間違いなく報告にあった織斑一夏に届けられる筈のISだろう。
けれどもそれは、未だ出来て間もない新品。赤子にも等しいだろう。
例えISコアを移植したところで、まともな戦力になるはずも無い。

(……だというのに、何故だ。何故こうも、私は不安をあおられている――っ!!)

途端、気配、としか言い表しようの無い何かを感じて、少女は宇宙のある一点を見つめる。

――其処に輝くのは、宇宙の無明に尚白く輝くノズル・フラッシュ。白い輝きは暗い宇宙に、小さなXを描き出す。



「――まさかっ!?」

『――スバル・スカリエッティ、RAYR2--マッハキャリバー!!。此処で、終わらせる!!』

「くぅっ!! この、イレギュラー如きがあああああああ!!!!!!」

宇宙に輝くのは滅びの光か、それとも輝く人の意思か。
此処に、再び二つの輝きがぶつかり合った。



Side Other End


※※※※※※※※※※※※※※※

もうブログに引っ越した事だし、はっちゃけても、いいよね?
※元ネタ:G002nd

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コメント
>>はっちゃけても、いいよね?
どうぞどうぞwwwむしろもっとやれwww
奇堂 | 2012.06.21 23:36 | 編集
リボンズと刹那ま最終決戦を彷彿とさせる展開だw
| 2012.06.21 23:59 | 編集
もっとはっちゃけてもいいのよ?

さて、今回は・・・すごく・・・00です・・・
そしてまさかのRAYR2とかwwww

次の更新待ってます。
戯言遣い | 2012.06.22 00:07 | 編集
移転してらしたんですね。
これからも楽しみにしてますb
White Seal | 2012.06.22 00:59 | 編集
>>イレギュラー
お前が言うなww
asupara | 2012.06.22 15:37 | 編集
次も楽しみです。
こいつセシリアに負けたんだよな…
| 2012.06.22 18:29 | 編集
先に同意。
オリ主思考の子達はなんで上手く行かない原因の子をすぐイレギュラーて言うてしまうん?
あるいはモブか。原作中心位置に関わってる時点でモブはなかろう。
つかなぜ貴公ナイトメアで飛んだり宇宙航行したりできる。

ところでデブリにしたISは大丈夫ですか。
コア抜いてガワだけになっているとはいえ、鹵獲されたら技術とか素材だとか色々まずくないですかね。
FALANDIA | 2012.06.23 17:15 | 編集
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