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12 奇人砲吼 ―交錯する機刃と魔刃。

2012.07.04 (Wed)
と言うわけで反撃の時間です。

「おらおらおらおら!!!! 突撃ハイカー!!」

ガツンガツンガツンと機械腕のドリルが校舎に穴を穿ち、その穴を利用して器用に身体をズンズン上らせる。
視線の先には、此方を見下ろしてなにやら呆れたような顔をする金髪ロリの姿が。

校舎を上っている最中に攻撃される事は無さそうだと、内心で安堵しつつ、即座に機械式背嚢と左腕のマルチブラウザの接続状況を確認。
各部に異常が無い事を確認しつつ、そのまま屋上の大地を再び踏みしめた。

「……分けの判らん人間だな、貴様」
「いや、いきなり一般人を攻撃するマクダウェルも意味不明です。例えるならば東京の下町でF1するぐらい意味不明です」
「その非一般人からの攻撃を往なし、尚且つ逃走した後で舞い戻ってくる人間を一般人とは呼ばん!!」
「えっ、嘘」

逃走も交戦も状況次第。
機械式背嚢が此方に到着した時点で、戦況は此方に有利。少し距離を開いた程度では戦場からの離脱とも言えず、故に自らの戦いやすいフィールドを選ぶのは、スポーツも競争も戦争も同じだ。

「まぁ、それはな。然し貴様の異常は決して一般人とは呼ばん!」

どうやら口に出ていたらしい。

「然し……ふん、そんな鉄くず一つで自分が有利に――この悪の魔法使い、闇の福音、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに勝利しうると判断したのか?」
「――えっと、マクダウェル? 厨二病にはまだ1年ほど早いと思うんだけど?」
「厨二病ではないわ痴れ者がっ!!」

そんな罵声と共に放たれる魔法の矢。
けれども今度は、ソレを回避する事もなく、ただにやりと笑い、泰然とその場に立って見せる。
瞬間、俺の正面に張られる四角く黄色に輝く光の壁が現れる。

「なっ、魔法――いや、違う!? なんだこれは!!」
「コレこそ超西式超電磁障壁!! 核爆発も何のそののこの障壁、魔法の矢の一本や二本で砕けるほどヤワではないわ!!(ただし100本以上とかムリポ) そして、これが、必殺の!!!」

シャキン! と音を立てて飛び出すのは、機械腕がドリルの変わりに装備する4つの|熱線機関銃《ブラストガトリング》。

「ジェノサイド・クロスファイヤァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
「え、なっ!? きゃっ!!」

放たれる4条の熱線。それらは一点で折り重なると、じりじりとマクダウェルの障壁を削り始める。
本来は砲弾とかビームとかレールガンとか、色々乱射する必殺技なのだが、残念ながらこの世界には銃刀法が存在している。いや、平然と無視してモデルガンだと言い張っているやつもいるらしいが。嘗ての世界だって銃刀法は存在してたのだが(平然と無視されていたが)。と言うわけで、今回のジェノサイド・クロスファイヤは熱線のみだ。
然し――うむ、科学的熱線は魔法障壁で防げるのか。障壁、普通に光を通してるくせに熱線だけ通さないとか、物理法則舐めてるな。

まぁ、俺も出来るけどさ。敵意だけから身を守るのとか。

「ちっ、舐めるな!!」
「えぇい、大人しく薄らコンガリレアに成るが良い!!」

瞬動で此方に急接近してくるマクダウェル。
けれどもその動きは一度見ている。あえて瞬動の出の予測地点から距離をとり、一呼吸置いてドリルで殴りかかる。

「ぬっ!?」
「そこっ!!」

一瞬の間に魔法障壁を張り巡らせるマクダウェル。
――かかった!

「我輩のドリルは|天《てぇん》を突くドォリル!! 貴様如きの軟弱な魔法障壁で防げるほど、やわなドリルでは無いのであぁぁぁる!!!!!!」

その瞬間、何かに取り付かれたかのように体が動いた。
ドラム缶のバーニア全開。スラスターも全力噴出。

「ぬ、ぐううう!!!」

ガリガリと火花を立てて障壁を削るドリル。先端が障壁を着きぬけ、そのままマクダウェルに殴りかかろうとしたところで、マクダウェルは咄嗟に背後に向かって飛び退った。

「ち、――ぬ?」
「く……ふん、中々やる――しかし此処までのようだな。私の糸に掛かった以上、貴様程度ではそこから抜け出せは――」
「アマァァァアアアアアアアアアアアイ!!!! 砂糖を煮詰めてソレを飴にして、更に飴を煮詰めて今度はキャラメルにした後更に煮詰めて真っ黒に成ったは寧ろ苦いその何かより甘い!!」

というわけで。

「――ぽちっとな」

途端、耳に残る甲高く不快な音が周囲に響く。

「なっ!? 貴様、何をしたっ!!」
「所謂超音波カッターである!! そしてこれが、今、必殺の!!」

KIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII―――

甲高い悲鳴のような音を上げて回転するドリル。
その表面には、刻印された術式が周辺の魔素をかき集め、ドリルの強度を霊的に上昇させていく。

そうして、そのドリルを見て青ざめるマクダウェル。彼女も気づいたのだろう。このドリルが、真祖であろうがドラゴンであろうが、寧ろ邪神すら貫きうる程の凶悪な一撃であると。

「突撃ぃ――ドリラアァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

再び編みなおされる魔法障壁。
けれどもドリルアームは、ソレをまるで薄いガラスでも叩き割るかのごとく容易く叩き砕いて。




その瞬間、真横から加えられた何等かの衝撃に、此方の躯はひとたまりも無くすっ転がった。

「ったた……何事!?」
「ゴメンね、諏訪先生。でも、其処まででとめさせてもらうよ」
「――タカミチ、貴様っ!!」

何時の間に其処に立っていたのか。
屋上の端、昇降口のその影に、無精ひげを生やした眼鏡の男――高畑・T・タカミチが、まるで其処に居るのが当たり前カのように其処に立っていた。

「これ以上は止めておくことを勧めるよ」
「――っ、く!!」

と、高畑氏の顔を見た途端、マクダウェルは苦虫を噛み潰したかのような表情で、然し戦闘態勢は解かずにその場に仁王立ちした。
ふんっ、気に喰わん。
ドリルは臨戦態勢のまま、然し何処かでこの戦いは此処までだと直感で判断した。
何か憑いていたものが落ちたかのように、急速に思考が開けてゆく。

「やっぱり……いたんなら、最初から止めてくださいよ」
「いや、悪いね。此処に来たのは今さっきなんだ」
「そんな都合のいい展開は、ヒーローの特権だ。アンタ如何見ても主人公の親友キャラとかそのあたたりでしょうが。此処は僕に任せて先に行くんだ! とかな台詞が似合いそうですもんね!」

――グサッ

「プッ」
「うぐ――っ」

あれ? 何か高畑先生ダメージ受けてるみたいだ。マクダウェルも笑ってるっぽいし。

「どうせアレですよね妖怪の仕業ですよね。マクダウェルさん、一つお聞きしても?」
「ぬ?」
「学園長にそそのかされましたか?」
「む――ああ」
「エヴァッ!!」

さらっと答えてしまったマクダウェルに、高畑先生が思わずといった様子で声を上げた。
うーん、やっぱりこの人、|腹芸が出来ない《おばかせんし》タイプなんだろうなぁ。

「タカミチ、貴様馬鹿だろう。いや、そういえばお前馬鹿だったな。このガキは貴様の反応で確信を持ったみたいだぞ?」
「あっ」
「まぁ、ソレが美徳なんでしょうね。嘘がつけなくて虚実に惑わされやすい。なるほど、あの姦計タイプのご老人のいい駒になるわけだ」

思わず口に出してしまう。
ああもう、何か苛立っている所為で無駄に挑発してしまう。

「ぼ、ボクは駒じゃ――」
「うむ、まぁ然し世の中の大半はこういう自分で考えられない馬鹿だからな。大目に見てやれ」
「ちょ、エヴァっ!!」
「十把一絡が力を持つのは厄介なんですよ。力相応に頭も廻ってくれないと」
「じ、十把……」
「然し、それは此処では無理だろう。此処の認識阻害の結界は人を若干阿呆にする。特にタカミチのような警戒の緩いヤツや、雑魚なんかは簡単にひっかかる」
「あぁ、なるほど。警戒の緩い雑魚なんですね。いや、力はあるから一概に雑魚とも言えない――ふむ――|Int《ノーミソ》の足りてない戦士か。解り易っ」
「orz」

あ、高畑先生がダウンした。

「ふむ――マクダウェルさん、まだやる気あります?」
「ふん、興がそがれた」
「そうですか。では、場所を変えて少しお話しません? 覗き見してる人間もいるみたいですし」

そういって、天壌のほうを睨みつけてやる。
途端、慌てたように途切れる第三者の視線。

「ほぅ、ジジイの盗撮を察知できるのか」
「母譲りで勘はいいほうなので」

そう。コレに関しては魔法とか関係なく使える。
嘗ての世界の魔法は、魔術の行使にも直感とかがわりと重要視された。その影響もあって俺は割りと第六感が研ぎ澄まされているのだが、今生になってからその直感は更に強化された。
多分だが、母さんの影響が多分にあるのだろうとおもう。

「ふむ、まぁ御呼ばれしてやろうか。場所は此方が指定するぞ」
「ええ、ソレは当然」
「では付いて来い。コーヒーの美味い店を紹介してやるよ、セ・ン・セ・イ」

ニヤリと愉しそうに笑みを浮かべるマクダウェル。
そうして俺達は、二人揃って学校の屋上を後にしたのだった。



 「orz」した高畑先生を放置して。

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何か憑依した。
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