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46 RebirthⅢ

2012.07.16 (Mon)

『よくもまぁ、此処まで無茶をやらかした物だ』

目の前に立つドクターが、呆れ顔でそんな事を呟いた。

Subaru >でも、必要に駆られての話だよ?
『XG-70bに任せてしまえばよかったんだ。出力だけならばアレは十分ISを落せる』

そういえば、あれは一応小型の宇宙戦艦に分類されるのか。どちらかといえば駆逐艦のような気もするのだけれども、その破壊力はデブリベルトに一撃で大穴を空けられるほど。クウォーター級には敵わないが、それでも十分以上の戦闘能力を持っているのは事実。

Subaru >いや、それでも万一が在るし。現状、ISに確実に相対できるのは、未だISだけだよ。
『PS計画の自己否定じゃないか』
Subaru >今は、って言ってるでしょが。

いずれはPS――量産型パワードスーツでISに追いつける時代が来るだろう。PSでなくとも、他の何かがISを追い越す日が、何時か必ず来るだろう。

Subaru >諦めたらそこでゲームオーバーですよ、だよ。
『まぁ、それもそう何だけれどもね。……とりあえずスバル、キミは今回無茶したバツとして、暫くは調整槽だ』
Subaru >えーっ!!
『ドゥーエが本気で怒っていてね。今出てくると洩れなくお説教が突いてくるが?』
Subaru >……調整槽で結構です。
『いやぁ、あの時のドゥーエは怖かった。トーレが裸足で逃げ出したからね。文字通り』

ガチ武闘派のトーレ姉をビビらせるドゥーエ姉。うわぁ、桑原桑原。
まぁ、クアの馬鹿はきっとそんなドゥーエ姉を見てエロくクネクネしてるんだろうなぁ。



あの地球へ向う最中の戦闘の後、気絶した私は気付いたら何処かの研究所のポッドに入れられていた。
で、最初に見たのがあのにやけたドクターの顔なのだから、その驚愕は察して欲しい。

イノベげふん、電子の妖精達の活躍のおかげで、何とか私はXB-70bに回収され、そのままこの施設に運び込まれたらしいのだが。

『本当に危ない状況でした。強化内骨格が内蔵を圧迫して、ポッドの強化型回復機能でかろうじて一命を取り留めた、と言う状況です』

リーダー格の赤毛君の言である。
で、目覚めた私はポッドに入れられたまま搬送。月軌道上の低重力医療施設に担ぎこまれた私は、現在こうしてポッドの中で、喋る事もできず、ただほぼ全裸の状態でチャットをするだけの毎日を過している。
幸い胸元より下は見えないように配慮したつくりになっているのだけれども、うーん、水の中で常全裸とか、何か新しい境地に目覚めそう。

――いや、ジョークだからね?

Subaru> で、あの襲撃してきた子について何か分った?
「あぁ、色々と情報が入ったよ。見てみるかい?」
Subaru> 是非に。

ドクターから送られてきたデータが、ポッド内の投影ディスプレイに表示される。
さすが未来の医療用ベッド。ステータスモニターからテレビ、果にはインターネットまで搭載している万能ベッドを豪語するだけは在る。
因みにこのメディカルポッド、愛称メディポッド、現在日本円で一機6桁くらいで販売している。感染症患者とか、大火傷の患者なんかが利用するのにいいらしい。

閑話休題。

ディスプレイに表示されたデータを見るに、成程彼女は確かにイギリス国籍の元代表候補生という事に成っている。
名前は「ミレイヌ・サヴィル」。イギリスのそこそこな旧家の出身で、IS適性はAと高く、学問に関してはそこそこより上くらいだが、実機演習ではかなりの好成績を記録。BT適性もそこそこあり、同じ代表候補生セシリア・オルコットとしのぎを削る関係だったのだとか。
人格面の評価は思想に身をおく狂人。要するにすぐにトリップする不思議ちゃん、という評価だったらしい。
思わずあの狂暴な少女の様子を思い出して、報告書とのギャップに首を傾げる。
だって、私が出会ったときのあの子って、如何見ても厨二系転生者といった感じだった。間違っても不思議ちゃん評価はないと思うのだけど。

続けて報告書を読む。
ブルー・ティアーズの専任選択においてセシリア・オルコットと競合。
サヴィルは戦闘能力こそ高いものの、その能力はどちらかと言うと近接戦闘に向いていた。試合の結果は僅差でオルコットの勝利。また戦術適性としてもオルコットに軍配が上がった。

此処で彼女はならばとIS学園への入学を希望するのだが、それを止めたのはイギリス政府だった。
イギリス政府としては、ヨーロッパ圏で行われる次期主力ISの選定――イグニッション・プランにおける主力候補である第三世代機、ブルー・ティアーズの広報は急務だ。
IS学園には多くの国家から未来のIS乗りが訪れる。そんな場所で新型を見せるのはナンセンス。然しこの次期ブルーティアーズを見せるのは寧ろ宣伝の意味として重要な物があった。
であれば必然的に、ブルーティアーズのランナーたるセシリア・オルコットのIS学園入学は必須となる。

然し、セシリア・オルコットがIS学園へ行ってしまえば、必然的にブルーティアーズの開発は遅れる。治外法権であるIS学園での開発は政治的に不可能なのだ。
そこで政府は、IS学園で取られたBTのデータを、本国でBT2号機、サイレントゼフィルスを使い、当機の熟成を進めることにしたのだ。

そこで抜擢され(てしまっ)たのが、彼女ことミレイヌ・サヴィルだ。

結果として彼女はIS学園へ行く事も敵わず、サイレントゼフィルスのテストパイロットをする事に成ってしまったのだそうだ。

で、来る某日。
セシリア・オルコットから齎されるデータにより、順調に進んでいた2号機開発だったが、此処で我々転生者であれば、予備知識と合わせて予期すべき事態が発生する。つまり、BT2号機、サイレントゼフィルスの強奪事件である。
彼女はサイレントゼフィルスを駆り、襲い来るISと激突。圧倒的不利な状況にも拘らず、施設の研究員全員が撤退完了するまでの時間を稼ぎきった。
残念ながら彼女は2号機ごと亡国機業に誘拐され、その後は消息不明――という事に成っていた。

なんともまぁ、若干残念ではあるが、中々波乱万丈な。オリ主といっても良い程度には主人公してるよ。

ページをめくる。
友好関係について。
彼女はなんでもオルコット家に規模でこそ劣るものの、歴史としてはオルコット家に比肩するほどの旧い貴族の家の出自なのだとか。
友人はその伝手、つまりは中流以上のところが主で、彼女自身父親の伝手を使い、広い交友関係を気付いていたのだとか。まぁ、周囲からの評価は「メルヘンちゃん」だったらしいが。

代表候補生の合宿においては、中心からはずれ、然し全体を俯瞰してバックアップするという立ち位置におり、貴族でありどうしても周囲を見下す傾向にあったセシリアや、何故か人格面で際立つ物のある高IS適性者達を、外側からサポートし、結果として合宿の前後での全体の成績向上率は例年を大きく上回ったのだとか。
個人の努力は当然だが、それを裏で支えていたのは間違いなく彼女であったのだろう、とは現地合宿所管理人のコメントだ。

また合宿所の面々――代表候補生達や貴族社会としての交友関係以外で、一つとても目立つ交友関係があったらしい。それが、インドの技術開発局に勤める鬼才、ラクシャータ・チャウラーとの交流だ。
一体何処で知り合ったのか、イギリス政府でも把握できては居ないのだが、ミレイヌ・サヴィルとラクシャータ・チャウラーは長く国を超えて交友を持った友人同士であり、ラクシャータ・チャウラーの発表した文献の幾つかには、ミレイヌ・サヴィルの名が残されているのだという。

つまりあのグレンは、ラクシャータ博士の開発ではなく、友好関係にあった彼女からの情報提供で建造された機体だ、と言うことか?
インドの機体って、ヴァジュラだったか、確かそんな名前だったように記憶している。

で、最後に彼女の現状。
地球回帰軌道において彼女との激戦の結果、Type-0-2の奮闘により撃破。装備する蒼い機体(サルベージしたデータからはソウエンと呼称)とともに回収。
簡易検査の結果、薬物による洗脳の疑いが出たため即座にメディカルポッドに入れ、入念な精密検査を実行。その結果、彼女の体内から大量のナノマシンと薬物を検出。
薬物は興奮剤、高揚剤、暗示剤――つまり催眠暗示に掛かりやすくなるような、麻薬系の物質が多量に検出され、そのほかにも肉体強化のためと思しき物などが検出された。
ナノマシンのほうはもっとえげつない。
主だった機能に、ナノマシン保持者の監視機能があり、このナノマシンを投与された物は、管理者に常に監視された状態に成る。そして最悪なのが、彼女の首に埋め込まれた小型の形成炸裂薬――つまり、爆弾。これを起爆させる為のシステムが組み込まれていたのだ。
機密保持、裏切り対策などを考えれば、成程中々のシステムだが。誘拐して洗脳した上こんなモノを仕込むとは。“らりるれろ”に切られてから、よほど余裕が無いと見える、亡国機業め。
幸いな事にウチの研究施設はその全てが狂った月兎対策に電波どころか量子の波、コアネットワークまで遮断する特別製だ。それが幸いして、彼女に対する自爆命令は遮断できたらしい。

現在彼女はウチの――つまり、N&Tの研究施設において、ナノマシンの排出と薬物の後遺症からの脱却の為の治療を受けているのだそうだ。
一応彼女の存命をイギリス政府に通達したらしく、即座に彼女の身柄返却要請が着たらしい。現在絶対安静が必要な上、亡国機業に狙われている可能性が高く、このまま秘匿して治療を優先させると宣告。
それでも強引に身柄を要求してきた為、ならばイギリスにN&Tの被った損害の補填を求めたところ、彼女が目覚め次第、サイレントゼフィルスと亡国機業の情報を可能な限り渡してくれれば、彼女の身柄をN&Tに完全譲渡する、とまでの言葉を貰ったのだとか。

N&Tの損害って、アレだよね。ソロモン。宇宙要塞の補填って如何よ。

TINAMIにだが、彼女の搭乗機、グレン改めソウエンは、現在N&Tの支社の何処かでオーバーホールと言う名の完全解体の憂き目にあっているらしい。
何せエナジーウィングに輻射波動砲と、中々愉快な技術が目白押しなのだ。ドクターも現地で顔芸しながら嬉々として解体に加わっていたのだとか。

Subaru> ありがとドクター。
「いやなに、私も今日見合って調べた事だ。満足したかね?」
Subaru> うん。
「そうか。なら、次はキミに関する話だ」
Subaru> へ?

そういって、次にメディポッド内のディスプレイに表示されたデータ。
何々、ファイル名「戦闘機人強化プラン」……っておい?!

Subaru> ちょ、何する気!?
「詳細はデータに纏めてあるんだが、まぁ要するにコレまで含め、今回の事でも分った戦闘機人全体の強化を行おうかと思ってね」
Subaru> 強化って。 具体的にはどうするの? 内部の骨格の構造材の変更?
「いいや、今回は根本的なところから改造しようと思ってね」

とりあえず見てご覧、といわれて送られたデータの中身を開封してみる。
そこにあったのは、いうなれば人と機械のより完全な融合。
現状、戦闘機人と言うのは、肉体の内部構造の主に骨格部分を機械化し、いうなれば人間を基にしたターミネーターのような構造をしている。

利点として、骨格が強化されているため、多少のダメージでは行動不能に成る事は無く、予め整備施設を整えておく事で、戦場で撃墜されても、回収・整備を行う事で即座に再出撃が可能である点だ。
つまり、軍事において最もコストが掛かるとされる人員の教育。
戦闘機人は、人的損失を軽減するとともに、高い回収率を期待できるのだ。
そのほかにも戦闘機人特有のデータの共有によりコストや時間を削減する事ができ、根本的に教育に掛かる時間をカットできたり、それどころか戦闘機人は『生産』出来るのだ。必要なときに必要なだけ戦闘機人を生産すればいいのだ。

まぁ、デメリットとして、一度壊れてしまうと専用の設備下でなければ修理は難しいし、設備が無ければただの人間を治すよりもコストが掛かってしまうのだが。

「なに、戦闘機人の初期プロットから既に15年以上経っているんだ。今やISは勿論、我々は宇宙に進出し、PS、紋章機、リジェネレイトと、この十数年であのときから大きく技術は進歩した。どちらにしろ、そろそろレストアの機会だと思っていたのだよ」

まぁ、確かに。私の提案する案や、N&Tで実際に開発された技術。それらは、私が生み出された当時には無かった技術だ。
それら最新技術を私の身体にフィードバックさせる……なるほど、レストアとは当にその通りか。

「具体的には、骨格系を特殊合金にし、更に全身にナノマシンを循環させる事で再生力を強化。骨格と企画をあわせることで、細胞に加え骨格の自己治癒まで可能に。更にナノマシンをIFSと連動させることで、生体情報端末たちにこそ及ばない物の、かなり高い情報操作能力を獲得! 無論神経系も強化するさ。とはいえ神経系のファイバー化は嫌がられたからね。また別の手段で、反応速度を倍以上に引き上げる事に成功したのさ。くくく、くふふふ、ふはははははは!!! 当に最強! さすがは私の作品。当に生命の神秘を手中に収めた所業!! 芸術的だとは思わないかね!!」
Subaru> 落ち着けドクター。
「あーっはっはっはっはっは!!!」

駄目だ、完全に暴走しだした。
顔芸までして完全にテンションがぶっ飛んでる。こうなっては、メディポッドの中に居る私ではドクターを正気に帰すことは無理だろう。

正直、カメラが寄ってる状態で顔芸されると、ポッドの中に居る私だとこう、逃げられないのだけれども。

Subaru> Plese come back Uno...

彼を止められるのはあなただけです。切実に。

...早く帰ってきてウーノ姉ぇ!!!
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コメント
更新お疲れ様です。

イタイオリ主かと思えば、ブーステッドでエクステンデッドな拉致被害者。
その正体は電波で不思議ちゃんなフォロー系転生者。何とも凄いジョグレス進化、いいぞ~もっとやれ(嬉
復帰後のワープ進化を期待しております。(笑
KoHi | 2012.07.16 20:54 | 編集
オリ主の実態はナニカサレタ人だったのか、このまま後遺症が治ってしまうのでしょうか。それとも、中途半端に残ってIS展開時だけ狂暴化する二重人格になるのかなぁ(笑)
gorou2517 | 2012.07.16 22:47 | 編集
メディポットの値段が六桁は安過ぎね?
明らかに最新医療機器の類いだから八桁いきそう。
真黒 | 2012.07.17 04:07 | 編集
メディポットの価格だけど、単位が万円じゃなくて円なら六桁は明らかに安すぎるぞ。
医療機器ってものすごく高くてMRIとかの最先端の機器は(ハイエンドだと)10億軽く超えるんだが(むろん7000万くらいの激安品もあるが)。
ちなみにCTは4000万~5億らしい。
nobu | 2012.07.19 00:37 | 編集
ちょ、『らりるれろ』って
いつかIS破壊のテロリストやサイボーグ忍者なんかが出てきそう……
はっ、もしやサイボーグ忍者=戦闘機人!!
狐 | 2012.07.20 14:06 | 編集
医療ポッドが6桁……つまり10万から99万の間なわけだが、ココで大きな罠があるんだ。そう、うっかり忘れちゃうんだがスバルは豪州出身。つまり……円じゃなくて豪ドルだったんだ!
Σ( ̄◇ ̄;)
それなら一豪ドルを80円として800万円~7920万円!ありえるかと!!
orez | 2012.07.27 23:21 | 編集
このコメントは管理者の承認待ちです
| 2013.01.07 18:41 | 編集
このコメントは管理者の承認待ちです
| 2013.01.07 18:41 | 編集
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